絶対絶命#2

右手の平を四肢を封じられたレオーに向けてかざす。


すると手の平に歪むようにして黒いエネルギーが流れ込み、黒いプラズマが手の平から発生し周囲を抉る。


「――ッ!!(動けねぇ!!)」


まるで間接処か四肢がもげるのではないかという激痛に襲われ、カードすら引けない。


「これで終わりね」


無慈悲にもそう言い放つアンジェミニは、黒雷弾となったディメンションパルスを発射する。


それは音を置き去りにする速さで迫り、一気に着弾した――





だった……


「タウラティカ!!」


「フンッ」


放たれたディメンションパルスをタウラティカが、自身の武器を投げたことで着弾させる。


周囲はその行動に驚いていると、一瞬の隙をついて攻撃して拘束を解く。


「おいデコ助野郎!!そいつは俺の獲物だ!!」


「ソイツを倒す前にまず俺を味わってからにしてもらおうか!!」


「何アイツ?」


「成る程、そんなに死にたいのですね……いいでしょう、貴方からまずあの世に送るとしましょう!」


タウラティカが戻ってきたタウラスを手に取ると同時に、4体のピスケティーナが郷田達に迫る。


アンジュは一瞬呆けるが、元々1人で戦いたかった為、願ってもないチャンスが訪れたと感じ、アンジェミニはレオーと相まみえる。


「これでお互いじっくり戦えるわね」


「誤算だったな」


「誤算?元々私とマスターは、誰にも邪魔されることなく貴方と勝負がしたかったの」


「そう言うことではない、私が言った誤算とは――」


「今その邪魔者がいなくなったことで、お前達の勝利が無くなったということだ」


「レオー」


「大丈夫、マスターのデッキと……私を信じて」


「……」


「さぁラミィ、カードを引きなさい、カードを引けばこのアンジェミニが貴方達に攻撃を仕掛ける……どんなカードを引き当てようとも――」


「それで終わりよ!」


ディスクからカードを引こうとするラミィ、しかしだんだんカードが離れていくような感覚に陥っていた。


それは彼の心の迷いから生じることであった。


次で逆転のカードを引けなければ、残りHP1000を切った体力では、次のアンジェミニの攻撃を耐えきれない。


(大丈夫、マスターのデッキと……私を信じて)


「……!(そうだ、俺が迷えばアイツも迷う!俺の与えられた役割はゲームに勝つこと、カードを引かなければ勝利は……未来は――)」


「――ッ!!(掴めない!!)」


全ての迷いを振り切り、ディスクからカードを引き抜く。


「フッ、どのカードを引いても貴方達にとっては絶望以外に無いわ」


「……そいつはどうかな?アンジュ」


「俺が、いや俺達が掴んだのは――」


「希望だ」


彼が引き当てたカードは、彼のデッキ最高の切り札であった。

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