オレンジのように酸っぱい、ひとときの邂逅。

企画キッカケに読ませてもらいました。偽教授さんの小説は何作か過去に読ませてもらってて、とても小説が上手な人だと認識している前提での感想です。

最後まで読んだ率直な感想としては、素直にホロリとさせられる作品でした。モチーフになっているオレンジ通りの、甘酸っぱい味わいのSF風味ファンタジー。中盤の、良い意味であっさり終わって消えてしまう二人の儚い交流と、2章ラスト、「心臓」のアザレアの心情がとても切ない。

アザレアが齧ったオレンジが何故酸っぱいのかとか、オチや中盤の流れを思うと暗喩的。こういう、暗くもなければ軽くもない、切ない恋愛(未満)ファンタジー書かせるとやっぱり上手いなあ……と感じる。

人様の企画にウ〇コ(物理)作品ぶつけた私から見れば十二分に上手いとしか言いようがないんですが、作者的にはしくじってる作品扱いっていうのは、理解出来なくもないかな……? 序盤がなんとなくとっつきにくい&ラノベ一冊分とは言わないけど、もう少し長く読みたい感じ? そこまで気にならない範囲だし、このお話がダメか?って訊かれたとしたら良い話だって答えますけども。