ボディ・スワップ~殺さない殺人鬼~

をりあゆうすけ

プロローグ

 7月30日未明


「待て!」

「止まりなさい!もう逃げられないぞ!」


 ハァ……ハァ……ハァ……

 一体どうなってるんだ?

 何で……何でこんな事に……?


「うっ!」

 クッソォ……痛ぇ、痛ぇよ……

 脇腹の出血が止まらない……

 こんな真っ暗な山ん中で……

 しかも大雨で……

 草木や枝で、手足が傷だらけだ。


 ハァ……ハァ……ハァ……

 どれくらい走ってるだろう?

 もう、足に力が入らねぇ……


 ハァ……ハァ……

「あっ!!ヤバ……」

 崖か?急斜面か?

 もう天地も分からない……

 小石や枝がカラダをえぐ

 身体中に痛みが走る……

 あぁ…………

 最後の晩餐は、泥水かぁ……

 洋介ようすけ……オレも、わ。


「うっ……!!」

 オレは、トドメに背中を地面に打つけ、急斜面の下で意識を失った。


「29日未明、○○市○○区の路上で男が刃物のような物で男性を刺し、現金を奪う事件がありました。男は今も逃走中で、20代で上下黒っぽい服を着ていたということです。

 刺された男性は、病院に搬送されましたが、間もなく死亡が確認されました。県警は強盗殺人の容疑で、逃げた男の行方を追っています」












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