「父さん 、母さん、俺、今よりも高いとこに行きたい」


第一話 俺の夢


俺が役者を目指すきっかけは5歳の時、母さんが見せてくれたとある舞台のDVDだった。


『ねぇねえおかあさん、ぼく、あのおにいさんみたいになりたい』

『そっか、これから頑張ればこの人と一緒にお仕事できるよ。頑張ってやってみる?』

『うん!がんばる!』

『それじゃあ、一緒に頑張ろうね』

『あのおにいさんのおなまえってなぁに?』

『あのお兄さんの名前はね、《咲宮 凛》って言うのよ』

『さきみや りん?』

『そう、咲宮くんよ』

『さきみやくん!ぼくおぼえた!

ぼく、さきみやくんみたいになる‼︎』



このDVDのおかげで俺は咲宮くんと巡り会えた。あの日から俺は母さんにボイストレーニングや歌い方を教えてもらい、父さんには演技を見てもらい今までずっと頑張ってきた。

「父さん、母さん、俺、はるかぜ養成所に入りたい。」

「本気なのか?」

「いいじゃないあなた。今までたくさん頑張ってきたんだから。」

「そうだな。よし、行ってこい。」

「ありがとう父さん、母さん!」

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