新説・都市伝説池袋編

鋏池 穏美

序章


 曰く──

 穢れ──

 呪い──

 祟り──


 よく分からない──


 皆さんはそれらを軽々しく、エンタテイメントとして消費してはいませんか? 小説、漫画、アニメ、ドラマ、ドキュメンタリーなど、今やそれらは手のひらの上の小さな機械で手軽に消費出来る時代。

 本来あった意味や曰くは面白おかしく曲解され、ただただ無為に消費されていくだけ。


 そんな現代で、に囚われてしまった三十代半ばの男が一人。


 男は池袋北口近くの地下道、通称WE ROADウイ ロードを東口方面に向けて抜け、そこから左手に向かって歩いている。


 大きな商業ビルの前を通り過ぎ、いくつかの自動販売機をやり過ごした辺りでは現れた。


 【池袋四面塔尊】──通称「人斬り塚」とも呼ばれる石塔。江戸時代、一晩で十数名が辻斬りに殺害されたこともあるらしく、その供養のために作られたのがこの四面塔。四面塔の傍らには二つの祠が建ち、その場を穢してはならない雰囲気を醸す。


 男はそんな曰くのある四面塔に視線をやり、「そういやを題材にしたショートホラーはバズったなぁ」と、呟いた。

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