少年と爆弾魔

赤ぬこ むぎ猫

少年と爆弾魔

少年には三分以内にやらなければならないことがあった


ビルに仕掛けられた爆弾を解体しなければないからだ。

このビルに仕掛けられた爆弾を解体しているのは解体経験豊富な一般人の少年

そして周りにいるのは爆発物処理班でも、偶然居合わせた哀れな犠牲者でもなく

この爆弾を仕掛けた爆弾魔だけだ。

その爆弾魔は人が集中して爆弾を解体しようとしているのにちょくちょく意味があるのかわからないよくわからない単語をつぶやいたり話しかけてきたり

邪魔がしたいのだろうか?

「どうだい?解体できそうかい?」

今回は進捗を聞きたい様だ。

「まぁ、ミスでもしない限り90%の確率で解体できるよ」

10%は主に運で90%は実力だね。才能と同じ様なもんさ

持つものと持たざる者がいる。僕の場合は前者だけどね。

「100%じゃないのかい?」

「100%ねぇ...」

「覚えておくといい、この世に100%なんていう物はないんだよ爆弾魔」

「そうか、それもそうだね。」

納得した様な声で足を組む爆弾魔

退屈そうだね。こっちは忙しいってのに

「なぁ、なんでこんな所に爆弾を仕掛けたんだ?」

この街には特に目立った建物もないし、ましてや汚職で建てられたビルでも、誰かが死んだりした過去のないクリーンで新品な真新しいビルだ。ただこの町では珍しいとも言える。この辺のビルは殆ど事故物件で自殺、他殺、汚職のバーゲンセールだ。


「うーんそうだね。依頼があったから...かなぁ」

「依頼ねぇ...そんなビジネス的な物だったっけ爆弾魔って」

もっとこう、楽しさとか復讐が目当てな爆弾魔ばっかりだと思ってたんだけどね。

「誘拐と違って身代金を要求できるわけじゃないんだ、依頼されて爆弾を作る方が効率的なのさ」世知辛いねぇ、最近の爆弾魔ってやつはさ。


「へー」


「興味無さそうだね少年」


「興味無いよ、復讐とか言わない爆弾魔の事情なんて、」



「だって....面白く無いじゃ無いか」

この解体された爆弾みたいにさ。ー

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