3分間のリフレイン

ミンイチ

第1話

 俺には三分以内にやらなければいけないことがあった。


 だが、それが何かはわからない。


 というのも、この1時間ほどの間に同じ3分を何回も繰り返しているからだ。


 一週間前に俺は高校から卒業して、今日は同じ部活だった女友達と買い物に来ていた。


 その帰り道、未だに活気がある商店街を通り過ぎようとしたとき、軽い目眩を感じた。


 目眩が収まったころには、なぜか、少し前に通り過ぎたはずの裏道に戻っていた。


 その後、数回ほど同じことがあって、戻ってから3分経つとまた戻ることに気が付いた。


 気付いてからは何故こんなことになっているのかを考えて、なにかトリガーがあるのではと考えて様々なことをしてきた。


 商店街のお店でほしいものは一通り買ってみたし、買い食いもした。


 一緒に来てる友達と変なお店に入ってみたし、大人の休み場にも入ってみた(入っただけで3分経ったが)。


 3分で家に帰ろうと走ってみたが、さすがに無理だった。


 このループの中で、友達の存在は大きな支えとなっていた。


 食べ物を試してみたときはいろんな反応をしてくれたし、物を買うときは的確なアドバイスとかもしてくれた。


 休み場に一緒に入ろうとしたときは恥ずかしそうな感じだったが、付いてきてくれた。


 そこから、彼女は俺に好意があるんじゃと考えてしまう。


 俺も彼女のことが好きだ。


 だが俺は、自分が彼女にふさわしいと思えない。


 彼女と俺は高1のころから同じ部活もメンバーだった。


 だらだらしている文化部ではあったが、部活での時間はとても楽しかった。


 そして、部活で一緒にだらだらしている時間が長くなり、高2の夏あたりから彼女のことを気になり始めた。


 その時は自分の錯覚だと思って無視していたけど、今考えるとあの時告白していればよかったと思う。


 そして高3になって、共テの少し前から彼女のことを、もう一度気になり始めた。


 その時からどうにか気持ちを伝えたいと思っていたけど、あるゲームをしているときに、自分は彼女のことを好きになっていいのか?という自己嫌悪が生まれてしまった。


 そのゲームはPvPのFPSで、条件をクリアされていれば倒した敵が像のようにその場に残ることがある。


 俺はその時女キャラを使っていて、その像になったのだが、敵の男キャラが俺のキャラの胸に顔を突っ込んだのだ。


 これを見て、どうせ俺もこんな感じなんだろうなと思って、この気持ちを秘めておこうと思った。


 この気持ちを伝えることがこのループからの脱出なら、俺は――




「なあ、○○」


「なぁに?」


「実は、伝えたいことがあってな」


「・・・なに?」


「俺は、お前のことが好きだ




 ループは終わった。

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