切れ味試していいですか?

みっちゃん87

プロローグ

摩天楼が切り取る夜空は、星の光さえも飲み込むほど深い闇を湛えていた。街の灯りが遠く霞む中、ふたりの女性教師、杏子と美沙子は、残業を終えて学校を後にした。彼女たちの足音だけが、静寂を破る。


「またこんな時間になっちゃったね。」杏子がため息をつきながら言った。


「うん、でも今日の準備、終わらせておきたかったし…。」美沙子が答えると、ふたりは無言で前に進んだ。


摩天楼の谷間を縫うようにして、細い路地を抜けるとき、ふと美沙子が話題を変えた。「ねえ、杏子。この街の忍者の伝説、知ってる?」


「忍者の伝説?」杏子が不思議そうに美沙子を見返した。


「うん、ここには忍者の亡霊が出るって言い伝えがあるの。夜中に、摩天楼の影から現れて…。」


その話に興味を引かれた杏子は、足を止めた。「へえ、そんな話があるんだ。でも、なんで忍者の亡霊が摩天楼の影で?」


「誰にもわからない。ただ、彼が現れると、必ず『切れ味を試してもいいか』と尋ねるらしい。その答え次第で…。」美沙子の声がふいに小さくなった。


杏子は美沙子の言葉に引き込まれ、「その答え次第で、どうなるの?」と尋ねた。


「その…、正しい答えをしないと、亡霊はあなたをこの世から切り離すって。」


ふたりの間に沈黙が流れた。都市の伝説を信じるわけではないが、この夜の空気は何かを予感させるものがあった。そして、その予感は間もなく、現実のものとなる。


「ねえ、美沙子。本当にそんな伝説、あるの?」杏子が不安げに尋ねたとき、ふいに風が吹き、摩天楼の影が動いたかのように見えた。


「さあ、でも今夜はもう帰ろう。伝説は伝説。私たちには関係ないわ。」美沙子が笑って、ふたりは再び歩き始めた。


しかし、この夜が終わるころ、ふたりは自らの運命と、摩天楼が宿す古の秘密に直面することになる。夜の終わりには、彼女たちの生き方を永遠に変える試練が待っていた。


それは、夜の摩天楼が語りかける、忘れられた忍者の亡霊の物語。そして、それは杏子と美沙子が自らの内なる声に耳を傾け、答えを見つけ出す旅の始まりでもあった。


終わり

このプロローグは、物語の世界へと読者を引き込み、主人公たちが直面する不思議で不気味な試練への期待を高めます。

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