第3話

「ああ、俺の軍が多すぎたからな、今回の事がなくても曹操と戦う可能性が高いかもしれないだろう?だから少し整理する事にしたんだ」

「そうですか」

俺は少し寂しい気持ちになっていたが仕方ない事だと思って頷いた。

「関羽なら最後まで劉備を守り抜こうとしたかもしれないが、俺はまだそこまでの力はない。だが俺なりに出来る事はするつもりだからな」

「分かりました」

馬超が去った後、俺は関羽の所へ向かう。

関羽がいるので黄蓋や周倉も一緒だ。

俺は頭を下げて、今まで世話してもらったお礼を述べた。

「色々あって、大変でしたね」

俺が言うと関羽は頷く。

「まったくじゃ」

すると黄蓋が言う。

「劉備軍に行けば俺たちのような年寄りとは別れた方がよろしいかと」

俺も同感であったので同意するように頷いた。

「そうですよね、私もそう思いますよ」

「それで、呂布殿たちはこれからどうされる?」

俺は少し考えたが、呂布奉先らしく答える事にした。

「そうですね……私たちにはまだまだやるべき事があるので暫くはこのまま各地を転戦していきたいと思います」

その言葉に関羽と黄蓋や周倉、さらには他の兵士たちまで拍手する。

「さすがは我が将軍ですな」

他の者たちが言う言葉に苦笑しながら俺はその場を去った。

劉備に関羽からの伝言を伝えた後、劉備と別れた。

呂布奉先は関羽の代わりに曹操の所に行く事にした。

「くれぐれも、曹操には気を付けてな」

俺がそう言うと関羽は頷いて答えた。

「分かった」

呂布奉先は陳宮に別れの言葉を告げた。

「今までありがとう。これからも頑張りなさい」

それだけ言うと陳宮は感極まって泣き出した。

「俺こそありがとうございました」

呂布奉先は陳宮と別れるとそのまま曹操の所へと向かった。

道中は実に順調であった。

特に戦いもないので楽々と進んでいる。

おそらく劉備軍は孫策が率いて、俺たちと戦い、そして曹操にやられるだろう。

その結果、恐らく曹操軍に吸収でもされるに違いない。

そう考えれば劉備軍の関係者と俺が関わる事もなくなる。

(だけど、悪い連中じゃないんだよな)

そんな事を考えているうちに数日で曹操軍がいるという許昌まで来た。

まず、曹操軍にいる劉備と親しい武将に挨拶に行った。

許昌では諸葛亮が俺を出迎えてくれた。

諸葛亮は年若いが聡明で俺と気が合った。

「呂布奉先殿、よくぞ参られた」

諸葛亮は俺の手を握って嬉しそうにそう話す。

「黄巾党との戦いの活躍を耳にしているよ」

俺は頷いて答えた。

「黄巾党は意外に手強かったです」

実際には戦ったのは呂布奉先だが、関羽と張飛が共に戦っても倒せなかった黄巾党なのだ。

それを考えれば今の呂布奉先は手強いだろう。

諸葛亮は少し目を細めると俺の顔をまじまじと見る。

「どうしたのですか?」

俺が訊くと諸葛亮は答えた。

「ああ、いえ何も……所で呂布殿に頼みがあるのです」


諸葛亮の話というのは劉備に剣を作って欲しいという事だった。

しかし、呂布奉先は既に持っていたりする。

(まあ、関羽から盗んで……いや、借りたんだけどな)

諸葛亮は俺の剣を見つめながら言う。

「実は曹操殿に謁見した際にこの様な話をしました」

諸葛亮が黄巾党との戦いについて話始めると曹操は興味深そうに聞いていた。

そこである日、黄巾党の張曼成が現れて襲ってきた話になった。

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