カトリック知識でおもしろくなる「ヴァチカンのエクソシスト」

 ラッセル・クロウ主演映画「ヴァチカンのエクソシスト」。

 エクソシストといえば、1973年公開のかの有名な映画「エクソシスト(監督ウィリアム・フリードキン)」である。

 この映画によってエクソシストという言葉は西洋の悪魔祓いの祈祷師として日本中に知れ渡った。

 厳密にエクソシストというのは「(主に)カトリック教会のエクソシスム(悪魔祓いの儀式)を行える者」のことだ。


 そして1973年の映画「エクソシスト」もこの「ヴァチカンのエクソシスト」もカトリックの話である。

 そもそもとして、「ヴァチカンのエクソシスト」の主人公ガブリエーレ・アモルト神父は実在の人物であるガブリエル・アモース神父であり、この映画の原作となったのは彼の著書「エクソシストは語る」である。

 よってこの映画はカトリック総本家であるローマ法王庁公認を受けており、実際の公認エクソシストが書いた体験談を元にしているのだだ。

 もちろん映画として、エンターテイメントとしても十分に面白い作品ではあるが、実のところそれだけでは73年の映画「エクソシスト」のオマージュのような部分が多く見られ、近年のホラーとして他作品と比べると面白みにかける、というのが正直な感想である。


 本作はキリスト教、ひいてはカトリックの信仰に理解があれば笑えるシーンや、より主人公たちの心境を理解できるシーンが多く存在する。

 しかし、残念ながら宗教、ましてキリスト教なんてものは我々日本人にとって馴染みが薄い。

 そこで本作をより楽しむために、いくつかのシーンについてカトリック的な説明を加えてみようと思う。

 ネタバレを含むので、是非本作を見たあとに読み、興味があればもう一度見直してみることをおすすめする。

 そして、ひとつの映画の楽しみ方として、あるいは、あなたの人生の糧として、この文章を読んでもらえれば幸いである。

 

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