勇者たちのかくかくしかじか 〜異世界お悩み相談所〜

@Kino929

プロローグ

剣、魔法、魔物、魔王、ファンタジー溢れるこの世界ではあるが決して平和とは言えなかった。




魔王達は各地に拠点を構え魔物を従わせ人の世を終わらせようと画策していた。人間達はよりすぐりの兵達を各地に派遣し魔王の侵攻を食い止めまいと奮然たる意思で戦いに講じていたが、個々の能力では筋力、魔力、どちらも魔の者達には遠く及ばなかった。




侵されていく、自分たちの故郷を、家族を、心さえも。なすすべもなくこうべを垂れて這い蹲ることしか出来ない。




人類全ての意思が服従を飲み込んだ、と思われたその時。


世界中で同時に光の柱が天から降り注いだ。虫の息になっていた兵士や、戦い方も分からぬ農民、商人、または年端もいかぬ子供さえも、光は無差別にあらゆる人間を包んだ。




呆気にとられる魔の者達であったが、我に返った時にはもう既に遅かった。光の柱の根元にいた人間は既にその中にはおらず、周囲を見渡すと叫喚や血飛沫が各地に点在して確認できた。




現状の原因が光に包まれた人の手によるものだと理解した時には、最早立っている者は人間側の方が多かった。




こうして諦めかけていた人間達は奮起を取り戻し魔王達の進行を退けた。




後に、光に包まれた人間達は「勇者」と、神に授けられたであろうその力は「神力」と呼ばれた。神力は様々で、剣をひと振りすれば数百メートル先まで斬撃を飛ばせる者、豪炎たる火を自由自在に操る者、はたまた空を自由に羽ばたける翼を得た者もいた。




人間の能力を凌駕したその力で勇者達は魔王蔓延る戦乱の世を徐々に静めていった。平和になった人の世であったが神力を授かる人間はあとを立たず、神がいつかまた来る混沌とした世界を予測しているようだった。




魔王の進行がなりを潜めて早百数十年。これはそんな世界で「勇者」たちの悩みを引き受け、うよう曲折有りながらも解決していく、そんなある人間たちの物語である…

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