第3話:封印解除と運命の支援者(1/3)


 妖精に導かれ、レンは古びた祠にたどり着いた。祠の封印を解くため、自らの血を使い札を剥がすことから始めた。しかし、妖精の願いにより、物理的な力による破壊が必要だとわかり、最終的には壺を蹴破って封印を解除した。この荒々しい方法による解決は、レン自身は清々しくも感じていた。


 封印が解除された瞬間、太陽のように眩しく熱い光が強大な魔力と共に周囲を満たした。光に照らされたレンは一時的に視力を失うが、幸いにも数分で視力は回復。彼の目の前に現れたのは、蓮司より少し背が低い、透明感のある美しい少女だった。長い髪をかき上げながら、彼女は満面の笑顔で感謝を示す。


 彼女が「ありがとー!」と感謝を表すと、レンは礼儀正しく「どういたしまして」と返答した。


 この少女は見た目が15歳程度の美しい少女で、軽やかに宙に浮かびながら話を続ける。「何かお礼をしたいんだけど……。お礼にあなたをサポートするわ! イヒヒヒ」と彼女は言った。


 レンは驚きながらも、この異世界の存在からの支援を感謝して受け入れる。「え? サポート? ありがたいね」


 彼女の快活な笑い声に、レンは戸惑いながらも笑みを返す。「なんだかユニークな笑い方だね」


「気にしないでね。さて、何か悩みはあるの?」と彼女は尋ねた。彼女の問いに、レンは率直に答える。「魔力がなく、魔獣に対抗する手段がないんだ」


 彼女は真剣な面持ちで応える。「それは厄介ね。だけど、憑依召喚の魔導書があれば、全てが変わるわよ」


「憑依召喚の魔導書?」レンは好奇心をそそられる。「それはどんな魔導書で、どうやって手に入れるんだ?」


 彼女は説明を続ける。「この魔導書は使用者の魔力を必要とせず、魔力を持つ強力な存在を召喚し、自分の体に憑依させるの。だけど、注意が必要よ。連用すると最悪の場合、体を乗っ取られてしまうから」


 レンは冗談めかして応じる。「それは最悪のシナリオだね」


「だからね、使用は慎重に。召喚される存在によっては、次第にリセットの効果が弱まり、最終的には乗っ取られる危険性があるの。それでもこの力を手に入れたいと思う?」


 彼女の問いかけに、レンは深く考え込む。「力を求める代償が大きいな。でも、この状況を打開するためには、そのリスクを背負う価値があるかもしれないな」


 彼女の目は真剣そのもので、レンの決意を問うかのように彼を見つめる。


「本当にその魔導書について詳しいんだね。どうしてそんなに?」レンの問いに、彼女はふとした表情を浮かべる。


「実はね、その魔導書を作るのを手伝ったの。あっ、そのせいで私が封印されたのかもしれないわね」


「ただ手伝っただけで封印されるなんて、厳しいな。なぜ手伝いを?」レンの問いに、彼女は軽やかに答える。


「純粋な好奇心からよ」


 レンは苦笑いを浮かべる。「それを聞くと、何も言えなくなるよ」


 彼女は再びその独特の笑い声を響かせる。「イヒヒヒ、でしょ?」


 このやり取りを通じて、レンは彼女との間にある種の信頼関係が芽生えていることを感じた。彼女の存在が、この先の未知の道を歩む上で、大きな支えとなりそうだ。


 彼女の過去、魔導書に関わる秘密、そして彼女が封印された真実について、レンはこれから徐々に触れていくことになるのは間違い違い。この出会いが、彼の運命を大きく変える一歩となることを、まだ彼自身は知る由もなかった。


 封印の解除、そして神秘的な少女との出会い。それはただの始まりに過ぎずなかった。

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