ウーバー傭兵

プロローグ

　グローバル・セキュリティ・ネットワーク社。アメリカ合衆国に本社を置く多国籍企業だ。

この会社はさまざまな防衛、セキュリティ関連の事業を行っているが、その中でも一際目立つのがいわゆる「ウーバー傭兵」と呼ばれるサービスだろう。

　まずはWebサイトかアプリケーションにてログイン。ブリーフィング（作戦会議）画面に遷移し、ボディーガード、歩兵、装甲車、戦闘車両などクライアント（利用者）に何が必要なのかを記入し、オファーを出すと、条件に合う契約社員と自動でマッチングし、サービスが提供される。

このサービスが誕生した際、まさか世界中で使われることになるとはCEOですら予測できなかった。

また、合衆国政府は集団テロ活動を防止するためこのサービスの利用を禁止する法案を提出することを検討。これについて世界各国のニュースメディアが大々的に報じた。

そこで、CEOはコネを活用し、大統領府に直談判。サービス利用規約に「有事の際は契約社員を合衆国政府がクライアントになることを許可する。」と追加することを約束した。その後風向きが変わり、結局法案は提出されなかった。

なぜなら「有事」と称して他国に居住しているアメリカ国籍ではない契約社員を必要なとき、必要な地域に動員できる可能性があるからだ。実質的な準軍事組織である。

そしてこのサービスに契約社員として登録し、わずか一年で実績総合最高ランク:ダイヤモンドに到達した男がいた。