第2話 魔術を知る
「何とか生活ができるようになったか。」
森に来てから一週間くらい立った。すぐに魔術を使えるようにしたかったが、生活する拠点もないのに何かすることはできない。やっと隠れ家かできて、森で食料を確保できるようになった。
グリムが周りから見えないように結界を張っているそうだ。追手が来ているだろうがすぐには見つからないだろう。
「お嬢様、朝食の準備ができました。」
グリムは森で捕まえたウサギを使った料理を出してくる。
生活する環境は整った。早速、魔術を習って力をつけなくてはいけない。
「グリム、朝食を食べ終わったら魔術を教えろ。」
グリムは頭を下げながら、
「イエス、マイロード」
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「ではまず、魔術の基礎について教えます。
お嬢様は魔術についてどれほど知っていますか?」
教会に連れて行かれるまでの記憶があり正しければ、魔術はわりとよく使われる技術だった。少し火をつけたり、水を出したりする程度だが。
「魔力を使って火や水が出せるくらいしか知らない。」
グリムは手から小さな火を出す。
「魔術とは世界の法則を魔力を用いて再現することです。
そのために世界の法則を再現する魔術式に魔力を注ぎ込むのです。
簡単に言えば魔方式が家電で魔力が電気のイメージです。」
グリムは何かが書かれた紙を見せる。なんだこれは、よくわからない文字の羅列だ。
「これが魔術を発動するのに必要な魔法式です。
これを頭の中で思い浮かべながら魔力を使うことで魔術が使えます。
最初は魔術式を覚えるのが大変ですがお嬢様ならすぐに感覚で使えるようになりますよ。」
紙に書かれた魔術式を頭に浮かべながら魔力を放ってみる。
「焼き尽くせ 獄炎」
大きな炎が森の木々を包みあっという間に森の一番が更地になった。
「これが魔術。
この力があれば理不尽に対抗することができる。
もっと教えろグリム」
これなら、これら…………………………
……………復讐が!
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《グリム視点》
面白いなこの人間、初めてでこんなの大規模な魔術を扱えるなんて。
しかも魔力が全然減っていない。普通の人間なら魔力の枯渇で倒れているぞ。
まずこの魔術はなんだ?これは上位魔術だぞ。私が渡した魔術式は下位魔術の火球だぞ。間違ってもここまで威力のある魔術ではない。
念の為、結界を広げといてよかったな。危うく追手にバレるところだった。今はまだ見つかるわけにはいかない。この人間がある程度力をつけるまでは。
もしかするとこの人間が私の探し求めていた人物かもしれない。
「おい、早く次の魔術を教えろ」
道の途中で諦めてくれるなよ。
私の悲願のために…………………………
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「獄炎」「獄炎」「獄炎」「獄炎」
今、私は魔術の感覚を掴むためにグリムの作ったドーム状の結界内で訓練している。
早く違う魔術も試してみたかったのだが、グリムが言うにはまず魔術を使う感覚を掴むことが大切らしい。
感覚をしっかり掴まないといざという時に魔術がすぐに使えないことがあるのだそうだ。
魔術を使う感覚は何となくだが掴めてきた。あとは魔力操作の練習をやろう。体の中で魔力を知覚することまではできた。
まずは体の中で魔力を動かしてみる。心臓付近から魔力が全身に巡っているのが分かる。これを操作すると体温が上がってきた。これが魔力操作なのだろう。
もしかすると体から放出した魔力を操作することができたらこれまで以上に魔術を使えるようになるのでは?
「獄炎鳥」
鳥の形をした獄炎が放たれる。本来よりも規模は小さいが着弾したところが深く抉れている。
獄炎は規模が大きすぎて使い所が難しいと思っていたところだったので嬉しい発見だ。
魔術は奥が破壊な、これを極めることができたら……………
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「どこだここ?」
やばい、魔術の訓練に熱中しすぎて倒れたのか。今は隠れ家のベットの上にいる。
何だか体が妙に重いな。体の魔力もあまり感じられない。
いきなり体から力が抜けて倒れたんだ。あれは何だったのか?
ドアが開き水の入った桶を持ったグリムが入ってくる。
「目を覚ましましたか、お嬢様」
「私はなんで倒れたんだ?」
疑問に思っていたことを聞く。
「魔力切れですよ。
魔術を使いすぎて体の魔力が枯渇したからお嬢様は意識を失ったのです。
休んで魔力が回復すれば大丈夫ですよ。」
そうか、魔力が切れると意識を失ってしまうのか気をつけないと実戦では命取りになるな。
「今の時間はどれくらいだ?」
早く訓練の続きをやりたい。やればやるほど新しいイメージが湧いてきて早く試してみたい。
「もう夜ですよ。
今日は夕食を食べて寝てください。
練習は明日に続きをやりましょう。」
「いやしかし…」
「このままだと体調を崩します。
今から訓練をして体調を崩して数日無駄にする方が訓練が滞りますよ。」
仕方ないか…………………………………
…………明日にするか。
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