チートな彼のハーレム計画
@Iwannacry
第1話チートな彼のギルド設立
「残念だが不採用だ。」
そう隣で吐き捨てる方は、名をサイガ・フミカネと言う、ここ最近で頭角を現した冒険者の一人。麗しい黒髪を持つ身長約4トイのウォーカー種の青年です。
私がサイガ様と出会ったのは、約半年ほど前の事。
その時の私は、病気の妹のために薬草を森まで取りに行っていたのですが、滅多に現れないヒュプノスバードに目をつけられてしまい、幻覚で森を彷徨い歩いていました。
疲れ果て食べられそうになり、絶望している所をサイガ様は颯爽と助けてくださったのです。その後、妹のために森に来ている事を話すと、薬草採取を手伝ってくださり、無事妹の病気も完治しました。
私も、妹もサイガ様に命を救って貰いました。それからしばらくサイガ様は私達の村に滞在し、その間は雑用も魔物の討伐も、料理だってしてらっしゃいました。
最初は村のみんなもあの侵略で有名なウォーカー種の姿に警戒していたのですが、大きさがウォーカー種の半分ほどしかない私達、スクイーラ種一人一人に丁寧に接する姿や、時々見せるとぼけた普通の方らしい姿は、すぐさま受け入れられていきました。
それから私はサイガ様に頼み込んで彼のサポート役として彼の冒険にお供させてもらっています。身体だけではなく心まで大きな、まさに勇者のようなお方です。
サイガ様は現在、ギルドメンバーを募っています。今日はサイガ様が立ち上げたギルドに入りたい、という方々の面接をする日。
まだ立ち上げたばかりで2人しかいないギルドですが、立ち上げた理由は国が運営するギルドからの圧力。
サイガ様が単身であまりに成果を上げたから、ギルドは実は大したことではないのではないか、という風潮があるらしいのです。設立にお金も必要だし、無理に作らせるようなものではないと思うのですが、考えがあるらしく設立を決められました。
面接者が不採用を言い渡され、部屋からすごすごと出ていきます。時にはなんでアタシを採用しないのよ!と騒ぎ立てる人もいましたが、サイガ様が黙らせました。そういう所を見抜いたんだろうなあと思うのは私だけでしょうか。
募集要項は"一芸に秀でた方" "サイガ・フミカネと仲良くできる方" の2つです。後者の条件を課した理由ですが、サイガ様は様々な事をしており、魔物退治や素材収集、武具作成で活躍した所、その手の方から仕事を奪う奴だと認識されている、と語っておりました。そんなに心配することでもないと思うのですが、警戒して悪いことはないでしょう。
私は面接に立ち会っていますが、そこにいるというだけで、採用するのは全てサイガ様のご判断です。ちなみにまだ採用者は一人も出ていません。
「女ばかりだな。」
「そうですね、サイガ様の見目のよさや類まれなる才能は知られておりますので、サイガ様と懇意になりたいという方の応募も多いのでしょう。」
「懇意、か……」
サイガ様はよく女性を避けられている印象があります。私がサイガ様のお供をするようになって、両手の指の数くらい様々な種の美女のピンチを救われておりましたが、どの方にも靡かれることはありませんでした。
最初は、生まれ育ったらしいヒョーゴとやらに心に決めた人がいるのかとも邪推しておりましたが、時折変身魔法を使って夜の街に遊びに行く所を見ると、どうやらそうでもないご様子。
後腐れのない関係が好きなのでしょうか?
「やはり待つだけではなく、俺自ら探しに行ったほうがいいのだろうな。」
広げた応募書類をまとめながらサイガ様は話されます。
「そういえば、何名ほど集められるつもりなのですか?」
「少数精鋭で運営しようと思っている。俺とロロテナ、後5人前後がいいだろうな。」
ちゃんと私も数に入れてくださるのを聞くだけで、嬉しくなってしまいます。しかし、計7人程ですか。大体上位ギルドは少なくても20人で構成されると聞きます。また何か上から言われないでしょうか……
サイガ様がその名を地に轟かすのは私も望む所ですが、そのせいでサイガ様に不利益があってはいけません。こればかりは解決策が、”サイガ様がすべての頂点に立つ”くらいしか思いつきません。
「明後日あたり、メンバーを探しに旅に出るぞ。」
「はい!」
最近はギルドの設立に追われていて、冒険に出れていなかったので嬉しいです。気分が浮ついてしまいます。明後日の旅でサイガ様のお眼鏡に叶う人物が見つかればいいのですが……
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