第3章 天才
一週間程して。総務から通信だ。
『君の隣の部屋に 帰還して来た者がいる。見て来てくれ。』
『了解しました。』
早速隣の部屋をノックする。だが一向に返事が来ない。
総監「誰かいますか?」
するとドアの隙間から紙が出てきた。そこには筆で
『今無理。ごめん。そこで待ってて。』
と書いてあり しばらく待つ事にした。
────30分。1時間。1時間30分。
総監「ああっ!もうっ!いつまで待たせる気!?」
と声を荒げたその時。扉が開いた。
?「ごめんね~。ってあれ?君見ない顔だね。まぁ私も此処は久々の帰還だから 久しぶりになるんだけど。さぁさぁ。入って?部屋片付けたからさ。」
謎のお姉さんに促され部屋に入って行く。入ってみるとそこはリビング。そしてキッチンと風呂にトイレまで完備された部屋だった。
?「改めて初めまして♪私 天才美女画家のレオナルド・ダ・ヴィンチ。君が噂の総監?確かにオーラが凄いねぇ。」
総監「ダヴィンチ...宜しく。」
ダヴィンチ「こちらこそ。そして総監。早速任務です!私の部屋の片付けをお願いします!この部屋全部を一緒にね!宜しくぅ!」
総監「えっ..?」
ごみ袋を渡され 仕方無く片付け始める。だがどうしよう。一向に片付かない。床は絵の具やら何やら散らかり放題。壁にも貼りまくり。ベッドには脱ぎ捨てられた服の山。
ダヴィンチ「あははっ!ごめんね~...私部屋の片付け苦手でさ。意外でしょ?こんな美人の部屋がこんな汚いなんて。」
総監「ま..まぁ...」
ダヴィンチ「やっぱり?私も思うんだ。普通天才は部屋も綺麗!ってイメージあるじゃない?でもそれがどっこい。私は天才故に この通り 部屋は汚れ放題。天才って意外とこんな物なんだよねぇ。」
総監「大変だね天才も。」
正直天才かは知らないが話を合わせてみる。
ダヴィンチ「まぁ天才故の苦労さ。イメージに縛られた周りからの評価を気にしなきゃいけないからね。」
総監「凡人の俺には縁の無い悩みだな...。」
ダヴィンチ「そうかな?案外君は凡人じゃ無いと思うけどね。だってこの施設の総監でしょ?無能だったら総監にはなれないし。多分...普通じゃないよねぇ?」
ニヤリとしたダヴィンチの瞳は確実に何かを捉えていた。目に見えない...確証の無い...何か。
総監「ありがとうダヴィンチ。でさ いつになったらこの部屋は綺麗になる?」
ダヴィンチ「う〜ん...頑張り次第。こう見ると私の部屋とんでもないね。んまぁ直す気は無いけど!」
結局二時間ほどダヴィンチの部屋の片付けを手伝った。
ダヴィンチ「いやぁありがとう総監!お陰で部屋が片付いたよ!」
総監「はぁ...はぁ...良かったね..。」
息切れする程 汚い部屋だった。
ダヴィンチ「総監にはお礼をしないとね!何がいい?」
総監「休憩を要請する...。」
ダヴィンチ「あいあいさー総監。至急休息を送るー。」
ダヴィンチに抱えられ ベッドに投げられる。
ダヴィンチ「しばらく休んでなよ。後で起こすからさ」
総監「あぁ..分かった...。」
ベッドに倒れた途端 全身の力が抜け、体が言う事を聞かなくなる。相当疲れていたのだろう。ダヴィンチが掛けてくれた布団の暖かさで瞼が重くなる。
───2時間後。
ダヴィンチ「総監んんんっ!!起ぉぉぉきぃぃぃてぇぇぇっっっ!」
ダヴィンチが耳元で大声を出す。その声で叩き起こされる。鼓膜が破れそうだ。
総監「うるさい!」
耳を塞ぎながらダヴィンチに怒る。
ダヴィンチ「あははっ!ごめんごめん。私にそんな付き合ってくれるの初めてだからさ。つい嬉しくて。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます