23店目「青い蒸し饅頭」

こんばんは、願いが叶うなら胃袋がもう一つ欲しいトラ顔紳士です!


本日はウメーディにニューオープンしたお店にやって来ました!

ニューオープンと言っても、移転しただけなのでリニューアルオープンと言った方が良いかもですね。


本日訪れたお店は、元々は冒険者ギルド内にあった人気の酒場。

冒険者には憩いのお店だったのですが、一般客には入りにくかったそうです。


そこで冒険者ギルドの隣に別店舗としてオープン。

お店の名前も「アベンジャーズ」と改名しました。


お店は倉庫を解体倉庫をイメージした煉瓦造りの大きな店舗。

外壁は真っ白に塗装されていますね。

入口は全部で三箇所。

いずれの扉にも木製の頑丈な扉が設置されています。

扉の上には魔法仕掛けのランプが付いており、入口周囲を優しく照らしています。


早速中に入って見ましょう。


扉を開けると大音量の笑い声が飛び込んできました!

タウンホール並みの広さのフロアにテーブルは二十台以上。

その全てがほぼ全て埋まっていますね。

種族も人族・ドワーフ・獣人族・エルフ族と様々。

皆さんお酒を片手に楽しそうな顔をしています。

この扉が頑丈なのは、間違いなく防音目的でしょう。

種族を問わず、仲間たちとの会話に花を咲かせているようです。


その反面、お店のスタッフにとっては戦場です。

ひっきりなしに注文が飛び交い、給仕たちが立ち止まることなく席の間をすり抜けていきます。


最初に運ばれてきた料理は、【燻製芋(一皿六個 三銅貨)】です。

燻製芋はウメーディの定番のおつまみ。

バレイという品種の粘り気のある小芋で、ねっとりホクホクとした食感が特徴です。

しっかりと燻しているので、香ばしさと燻製特有の香りがエールとの相性バッチリ。

一口で食べられる気軽さと、注文後すぐに提供されることも人気の理由の一つ。

「とりあえず【燻製芋】!」と頼む人も多いですね。


【アベンジャーズ】の燻製芋は通常の塩の代わりに岩塩を用いているので、旨味とともにカリカリという食感をも楽しめますね。


続いての料理は、ギルド内で酒場を運営していた時の名物料理【魔獣肉の三種盛り(二銀貨)】です。

アベンジャーズとして移転後も看板メニューとなっています。

その日入手した魔獣肉を、素材に合わせた調理法で提供されます。

例えどんなレア素材でも一般素材でも料金は同じ。

どんな料理に当たるかは出されるまで分からないですね。


今回出されたのは、

・ヘルコンドルの唐揚げ

・オークのタンサラダ

・ミノタウロスのカットステーキ

の三種類。


ヘルコンドルの唐揚げは一日ほど調味液に漬け込んだモモ肉を、小麦粉をまぶして高温でカラッと揚げたもの。

ウメーディで人気の【異世界居酒屋 庵】の料理を、料理長が独自に改良したそうです。

胡椒の代わりにたっぷりの塩を使い、その上からピリ辛のソースをかけています。

ヘルコンドルの野性味溢れる旨味と力強い歯ごたえを、この味付けは素材の味わいを引き立てていますね。

一つ食べると無性にエールが欲しくなります。

これは酒飲みには危険な一品ですね!


オークのタンサラダは、しっかり燻されたオークの舌をウメーディで採れる季節の葉野菜と盛り合わせた料理。

うっすらかけられたピリ辛のソースがサラダ全体と調和し、食欲も増進させてくれます。

葉野菜のパリッとした食感とオークタンのコリッとした食感の対比が絶妙ですね。


ミノタウロスのカットステーキはジューシーそのもの!

茶褐色の立方体が、口の中で肉汁製造機に変化します!

脂身がほとんど無いミノタウロスですが、赤身の部分だけでも十分すぎるほどの濃厚な旨味と甘みがたっぷり含まれています。

噛めば噛むほど豊かな味わいと香りが広がり、体全体でエールを強く求めてしまいますね。

ミノタウロスの肉は、魔獣肉でもトップクラスではないでしょうか?


十分に満足したところですが、お店の人より新作料理を試して欲しいとのこと。

もちろん断るわけはありません!

一体どんな料理なんでしょうか?


出された料理は水色がかった膜に包まれた、底が平らで上が盛り上がった半円形の物体。

一口サイズの大きさで、ホカホカと湯気が立っています。

様々な香草を使用しているようで、食べる前からその香りに魅了されてしまいます。


どんな料理なのか店員に聞くと、まずは食べてみるようにとのことでした。

早速フォークを刺そうとすると、ぷるんと弾力が返ってきました。


この独特の弾力は以前にも味わったことがあります。

おそらくこの薄皮はスライムを使っているのでしょう。

ナイフで切ってみると、華やかな香草の香りが部屋中に広がり、ドロっと粘性のあるスープが溢れてきました。


この香りはヤバいです!

肉が焼けるような香ばしい香りに加え、思わずよだれが出てしまうようなスパイシーな香り。

ナッツを炒ったような香ばしい香りも、食欲を誘いますね!


断面を見るとチョコレート色に染まっだひき肉と大きめのマッシュルーム、様々な種類の香草がぎっしりと詰まっています。


一口食べてびっくり!

濃厚な出汁の味と炒めたひき肉の旨味、香味野菜のスパイシーな香りと甘みが見事に一体となって喉を通り過ぎます。

口に残る余韻も長く、一つ一つは大きくはないものの食べごたえはたっぷりですね。

一つ食べるとすぐにもう一つ欲しくなってしまいます。


そのままでも美味しいですが、味変用のソースも絶品!

味変用のタレは貝と様々な香辛料をペースト状になるまですりつぶし、数カ月間熟成させたもの。


ひき肉の味わいにに熟成させた貝の旨味も加わって、より濃厚で後を引く美味しさになりましたね!

他にも爽やかな柑橘系の酸味のあるソースもありましたが、僕は貝のソース一択!

あっという間に食べ尽くしてしまいました。


ごちそうさまでした!



店名:冒険者酒場「アベンジャーズ」

予算:三〜五銀貨

店の雰囲気 ★★★★☆

店員の対応 ★★★★☆

料理の味  ★★★★★

コスパ   ★★★★☆

バラエティ ★★★★☆

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