恋愛成就と呪いはカミヒトエ
悲哀の笑太郎
プロローグ
あなたは、最近好きな人ができた。
とてもいい声で、綺麗な人で、そして優しくて。
でも、その人はあなたにとっては高嶺の花だ。
この恋は、叶うはずがない。そう思っていた——
友人からあの話を聞くまでは。
==========
先日、あなたの友人・
その友人とはついこの間まで「恋人なんてできるはずがない」とお互い愚痴を言っていたのに。
その友人は、あなたにこう話した。
「私ね、この前おばあちゃんの家に行った時に、近くにあった豊川稲荷にも行ってきたの。日本三代稲荷って知ってる?そのうちの一つなんだけどね。そこで『素敵な恋人ができますように』ってお祈りしてきたの。そうしたらね、もうすぐに彼と付き合えちゃって!」
「へぇー。」
どうやら依は、最近『豊川稲荷』というところに行って以降、恋人ができたらしい。
顔をキラキラさせて話す、少しオシャレをして背伸びした友人を前に、あなたは興味なさげに相槌を打った。
「本当だってばァ!お稲荷様のご利益は本物なんだから!」
それが本当なら、どれほどいいのだろうか。
あなたは、わずかに心が動いた。
友人は、そんなあなたを見てニヤリと笑う。
「ねェ。君、最近好きな人ができたんでしょ?」
「…っ。なんでわかったの?」
「友達なんだから、見て分かるよ。ならもうすぐ夏休みだし、豊川稲荷に行ってみない?」
「良いかもしれないけれど…、あんまりそういう所行かないしなぁ。」
「そんな君にもオススメなのがあってねー、夏限定の『夜詣』っ!境内のライトアップもあって、観光スポットとしても有名なの!ただ、気をつけてね。おばあちゃんから聞いたんだけど、時々呪われちゃう人がいるんだって。昔おばあちゃんの知り合いがそこに参拝したっきり、まるで取り憑かれちゃったみたいに人格が変わっちゃったらしいの…。あと他にもいろんな噂があるから…。」
「そっか…。それは怖いね。」
「あ、やっぱり不安?じゃあ私も一緒に行って、君が参拝している時に色々教えてあげる。私はよく遊びに行ってるし、その地域の豆知識とか色々知ってるわよ!」
「本当に?」
「本当だよ!私がガイドをする以上、君を絶対危険な目に合わせないから!ねっ?どうかな?」
「うーん、それなら行くのもアリかな…。」
==========
一千年に一度の恋が叶うのならば———
あなたは、この夏休みに豊川稲荷に行ってみることにした。
たった一晩の怖い物語が今、幕を開ける。
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