古戦場公園の亡霊

本編

スポット1 庄九郎塚（しょうくろうづか）の前

　　　　　　　　◇

青色の光の塊（かたまり）が、ふわっと目の前に現れた。

主人公　「わっ！！なんだろう？」

その光から、なんと声が聞こえてきたのだ。

???「そこのお主、私を助けてくれないのかのう？」

主人公　「あ・あなたは、だれですか？」

⁇？　「わしは、お主の前にある庄九郎塚に眠っている池田元助（いけだもとすけ）の魂なのじゃ！気軽に、もとすけくんと呼んで欲しいのじゃ！」

主人公　「わ・わかったよ、それで、助けてほしいってどういうことなの？もとすけくん」

もとすけくん　「わしはな、この令和の時代にこの長久手古戦場を全国にPRするために神様から生まれ変われることを許されたのじゃが、ここは戦場だったので、幽霊たちが生まれ変わることを邪魔してくるのじゃ！」

主人公　「そうなんだ！どうやったら、その幽霊をやっつけられるの？」

もとすけくん　「簡単なのじゃ！これからその幽霊たちが、クイズを出題してくるので、それを全問正解すれば、やっつけられるのじゃ、もちろんわしが、ヒントを出すから安心してほしいのじゃ！」

主人公　「うん！もとすけくんのために協力するよ！」

もとすけくん　「それは、助かるのじゃ！」

　　　　　　　　　◇

スポット2 古戦場公園　古戦場縮景　案内図

　　　　　　　　　◇

もとすけくん　「おっと！さっそく幽霊たちがやって来たのじゃ」

幽霊が、両手に問題が書いてあるボードを持ちながら、目の前に突然、現れた。

主人公　「わっ！びっくりしたー！」

もとすけくん　「驚いている場合では、ないのじゃ！問題が出されているのじゃ！」

主人公　「わかっているよー！」

幽霊　「問題だよ〜解けるかな？」

主人公　「うわ！幽霊がしゃべった！！」

もとすけくん　「いちいち驚くのではないのじゃ！」

主人公　「だ・だって‥‥幽霊がしゃべるとは思わなかったから‥」

もとすけくん　「いいから、はやく問題を解くのじゃ」

主人公　「う・うん、えっと‥‥問題は‥」

幽霊が両手で、持っている問題が書いてあるボードを見た。

　問題　今いる長久手古戦場公園で、行われた長久手の戦いで、主に羽柴（豊臣）秀吉と誰が戦った？　次の３つから選んで、正解だと思う番号を指で押してね。

　　1 織田信長　2 徳川家康　3 明智光秀

主人公　「うーん‥‥」

もとすけくん　「もし、わからなかったら、目の前にある案内図に答えが書いてあるのじゃ！」

主人公　「あっ！書いてあった！」

　　　　　「答えは、2 番だ！」

　　　　　ボードの2 番を指で押す。

　　　　　ピンポンピンポーン　

なにやらクイズで正解したときに流れる音と同時に、○のマークが幽霊の顔に浮かび上がった。

幽霊　「ひぇーー！正解でーす！やられたー」

幽霊が悲鳴を上げながら逃げていった。

もとすけくん　「よくやったのじゃ！あと3問あるからのぅ、頑張ってほしいのじゃ」

次の幽霊がボードを持ってやって来た。

幽霊　「次の問題だよー、今度は難しいよ〜」

　問題　この長久手の戦いがあった日は、次の３つのうちどれ？

　　　1 4月2日　2 4月4日　3 4月9日

主人公　「うーん、難しい問題だなー」

もとすけくん　「これも、正解が案内図に書いてあるのじゃ！」

主人公　「えっと‥ どこに書いてあるかな？」

　　　「あった！4月9日だから、3番だ！」

　　　　　　ボードの3番を指で押す。

　　　　　ピンポンピンポーン

またもや音と同時に、幽霊の顔に○のマークが浮かび上がった。

幽霊　「ひぇー！また正解だ〜、次はもっと難しい問題を持ってくるよー！」

捨て台詞を言いながら、どこかへ逃げていった。

　　　　　　　　　◇

スポット3 古戦場公園　長久手市郷土資料室の前

　　　　　　　　　◇

新たな幽霊がボードを持ってやって来た。

問題　この長久手の戦いで武士の着ていた甲冑に付いた血を洗って流した場所が公園になっています。その公園の名前は、次の3つのうちどれ？

　1 血の池公園　2 血の湖公園　3 血の川公園

主人公　「えっ！こんな怖い名前の公園あるの‥」

もとすけくん　「どれも現実にあったら怖い公園じゃが、一つは実際ある公園なのじゃ！正解は郷土資料室の横にある史跡案内図に名前が書いてあるのじゃ」

史跡案内図を見る。

主人公　「えっと‥」

　　　　「あった！正解は、1番だ！」

　　　　　　　ボードの1番を指で押す。

　　　　　　ピンポンピンポーン

正解の音と同時に、幽霊の顔に○が浮かび上がった。

幽霊　「ひぇーー！この問題は難しいと思ったのに〜、こうなったら、お頭様呼んでこよう〜」

慌てて、どこかに逃げていった。

もとすけくん　「よし！あと１つで全問正解になるのじゃ！」

主人公　「ふー、ようやく最後の問題か、どんな問題だろう？」

幽霊を待っていると、のそのそと幽霊じゃない甲冑を着たナニカがこっちに向かってくる。

主人公　「うわぁぁ！最後は幽霊じゃないの！」

逃げようとする主人公に、もとすけくんが呼び止めた。

もとすけくん　「待つのじゃ！逃げるのではない！」

主人公　「いや、怖いよー、なんなのアレは！？」

しかも、よく見ると片方の腕と目がないよ！！

もとすけくん　「アレは、落ち武者というやつじゃ！ラスボスだから問題に答えるのじゃ！」

落ち武者　「ぐわぁー、ぐわっ！ぐわわわー！」

主人公　「えっ？なんて言っているの？」

もとすけくん　「ふむ！わしが通訳するとよくここまで来たな！と言っておる」

主人公　「ホントに？」

疑わしいけど‥‥

もとすけくん　「本当じゃ、わしも似たようなものだからわかるのじゃ！」

主人公　「似たようなものって‥、この落ち武者姿で転生したら、みんな怖がるよ！」

もとすけくん　「大丈夫じゃ！神様には、可愛いキャラでお願いしますと頼んだのじゃ！」

落ち武者　「ぐわっ！！ぐわっ、ぐわ、ぐわわわー！」

もとすけくん　「私のことを無視するな！今から最終問題を出すから解いてみろ！と言っておる」

落ち武者が片腕しかない右手にボードを持って問題を出して来た。

問題　この長久手の戦いでは、家康が勝ったのだが、小牧・長久手の戦いをトータルで見たら、最終的に、どう決着がついた？

　1 家康側勝利　2 秀吉側勝利　3 引き分け

主人公　「やっぱり、最後は難しい問題だね〜」

もとすけくん　「この問題は、お主の目の前にある郷土資料室（入場料、無料）に行けばわかるから、見学してくるのじゃ！」

　　　　　　　　　見学中

主人公　「とても勉強になったよ、もとすけくん！」

もとすけくん　「それは、よかったのじゃ！おっと、落ち武者が何か言っておる」

落ち武者　「ぐわっ！ぐわっわわ！ぐわっ！」

——ブン、ブン、ブン

手に持っている問題ボードをぐるぐる回している。

主人公　「わっ！なんか怒っている気がするよ！」

もとすけくん　「お主も、幽霊の言葉がわかってきたようじゃな、そうじゃ！いつまで待たせる気だ！早く問題を解け！と言っておる」

主人公　「幽霊の言葉なんかわかりたくもないよー」

もとすけくん　「それで、答えはなんじゃ？」

主人公　「講和を結んだから‥答えは、3 引き分けだ！」

　　　　ボードの3番を指で押す。

　　　　ピンポンピンポーン！

もとすけくん　「正解なのじゃ！」

正解の音がなったあと、落ち武者が、白い光に包まれた。　

落ち武者　「ぐわっ！ぐわぁーー！」

落ち武者の足元から、だんだん消えていく、どうやら浄化されるみたいだ。

——パァー

一瞬、すごい光を放つと、生前の落ち武者だろうか。

落ち武者　「私を救ってくれてありがとう！」

最後に、元の人間の姿に戻って成仏できることに感謝の言葉をもらった。

もとすけくん　「よくやったのじゃ！落ち武者も救えたし、クイズも全問正解なのじゃ！」

主人公　「よかったー、これで、もとすけくんも生まれ変われることができるね！」

すると、曇っていた空から突然、眩しい光が降りてきた。

？？？　「お前が、池田元助だな！」

白い装束を着ているご老人が、もとすけくんに話しかけてきた。

もとすけくん　「あなたは‥、もしや神様でございますか？」

あれ？口調が変わった。

やはり、怖がらせないように、口調を合わせていたのかな？

神様「うむ！わしは、全能の神じゃ、お前に、約束通り可愛い、きゃらくたーとやらに生まれ変わることを許そう」

もとすけくん　「ありがたき幸せでございます！」

神様　「えい！！」

神様が、持っていた杖を振りかざすと、もとすけくんの魂になにやら変化が‥‥

どんどんと、形が作られてきた。

魂が、徐々に人間？いや、甲冑をきた小さな人形みたいなのが、突如として目の前に現れた。

—♪

競馬場で流れるようなファンファーレとともに、もとすけくんが、新しい姿に、生まれ変わった！！

もとすけくん　「わー！やったのじゃ！」

喋り始めたら、なにかこういうキャラクターをテレビで見たことあるな‥‥

主人公　「あっ！もしかして、【ゆるキャラ】に転生したの？」

もとすけくん　「ゆるキャラ‥‥たしか、知名度を全国にPRするために各地で生まれているキャラクターじゃな〜」

主人公　「うん！そうだよ、これで古戦場公園を全国にPRできるね！」

もとすけくん　「よーし、頑張るぞい！皆の者、これから応援してくれると嬉しいのじゃ！」

　　　　　　　　　終