見えないものと見える恐怖

「…お父様ッ!?」


突然、父は海音を突き飛ばした。


何が起きたのか理解が出来ずに立ち尽くす海音。



「私は大丈夫だ!お前は王国へ行って民と家族を守るのだ!行け!!」


網に閉じ込められ、引っ張り上げられる父親…

2人の人間が様子を見に泳いでくるのが見える。


父親の言葉を聞き我に返り必死に王国へ向かう。



(僕のせいで…くそっ…!!)




王国へ着くと、母が何かを察知していたのか民へ避難誘導していたーー


「これは訓練じゃないわ!!急いで海底の岩穴に隠れるのよ!!」


王国は混乱状態だった、

子供の泣き声…不安でありながらも子供を宥める親の声

民の叫び声や怯えた表情…



これが自分海音の興味が招いた結果であると深く心に刻みこまれた。


ゆっくりと母親に近づく海音ー


「海音!!無事だったのね…っ!!良かったわ…」


母はゆっくりと近づく海音に気付き、すぐに駆け寄り強く抱きしめた。


「ご、ごめんなさい…僕…僕のせいで…」


言葉では言い表せられない恐怖心と不安そして後悔…

目の前の悲惨な状況を見て身体と声が震える。



「大丈夫よ…皆、少しづつ避難させてるから…

貴方が無事で良かった…本当に良かった…っ!!

海音?いい?貴方も隠れるのよ!皆を安心させてちょうだい…」


「嫌だ!僕も皆を誘導する…っ!!僕のせいなんだ…だから!!」




「いやああああーーーー!!あなたっ!!助けてえええッ!」


突然、悲鳴が響き渡る。


「くそっ!!なんだこれ!?出られないぞ!助けてくれえっ!!」



「お母さああああーーっ!!嫌だよおおお!!」



次々とどこからともなく悲鳴が聞こえる。



(なんだ…これ…何が起きてるんだ…)



に捕らわれていく人魚達ー

そして、のような物が降ってくる…。



「海音!お母さんの言う事を聞きなさい!!

良いわね?貴方は早く岩穴に隠れるのよ!」



母はそう言い残し、貝殻のナイフを持って捕らわれた民を助けに行った。

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