五泊目 人間

 そんな感じで、どっち?なに?どれ??みたいなものが多いし俺のは明らかな足音だったし、そんな「お化け??」みたいな雰囲気はするけど俺たちが気が付いていないような出来事なんて一杯あるんだろうなぁ、って話だよ。寝てる間とかにね。これはよくあるような聞いた話だけど、テントのすぐ外にまでクマが来て目が合った、って話が一番有名だしお前も聞いた事あるんじゃない?特番ニュースとかでもよく取り上げられてるね。


 んで、さっき俺が言ってた、そんな経験をしてても人気の無い奥地や辺地を選ぶ理由なんだけど・・・・・・



 当初は俺も公共のキャンプ地や名所てきな場所で楽しんでいたよ。同じキャンプ仲間も出来るし人の交流も楽しんでいた。しかし、ある日そういった区切りや間取りがあるキャンプ地でのんびりしていて、そこは山菜やキノコ、季節によるけど栗やら銀杏やら自己責任で自由に取っていいって場所があって、山の中を仲間と三人で色々と山の幸狩りをやっていた。


 で、俺ら三人が色んな収穫を終えて下山する時に二人の男性とすれ違った。で、当たり前のように「こんにちはー」と、挨拶をするが向こうは無視しやがった。三人が三人とも目を合わせ、無言の「見えたよな?」と目で語り合い、ある程度、離れてから確認し合った。まだその時刻は昼過ぎぐらいだったこともあるし変な奴らに関わり合うことの方が厄介だとも思い、そのことは忘れるようにした。


 夕食は採ってきた山の幸の数々でBBQバーベキュー。友人が作ってくれた山菜の天ぷらが絶品だったことでよく覚えている。そしてよく覚えている理由のもう一つ・・・・・・


 俺は便意を催し、仮設で設置されたトイレへと一人で向かった。


 駅や公園、公共の場のトイレって異常に臭くて不衛生だから本当はできるだけ入りたくはないけど、どうしての”大”の方だから仕方が無かった。管理者が住み込みレベルで経営している大きなキャンプ地ではキレイで問題はないが、管理会社や現地の人などに管理を依頼しているような場所だと清掃などはそんなだったりする。最近、特にそういったのが多い気もするな。昔はその山の所有者っていうか地主とかオーナーは個人的な交渉が多かったが、最近では別の管理者を立てていることが多い。


 で、ちょっと調べたんだけど日本では固定資産税とかも上がり、とりあえず所持していることが損する程になったとか。だから山や土地を出来るだけ早く売り捌くようにしてしまう。その土地の管理不行き届きだと訴訟される事も増えてきている。木が倒れて来て怪我をしたとか、動物に襲われてその責任を所有者へ取るようにといった内容で。

 勿論、本当にそういった被害がある場合もあれば、も・・・・・・


 まぁ、色々不便な時代と国の制度などにより売りたい人が増えて、そして多くの外国人が買いたいという「需要」すらある。今の「円安」がその拍車をかけている。


 つまり、所有者が外国の資産家だから管理は現地の人を雇ってさせているというケースだな。


 さて、その基本パターンがある上で聞いて欲しいんだが、俺が昼に採取して食べた謎の木の実が原因なのか、そのキャンプ地のトイレで腹痛に耐えながら頑張っていると、トイレの裏手かどっかから



 正確に言うと、恐らく二人の男性が外国語で会話をしながら、一人は別の誰かと電話をしていて、そいつはを通話相手と喋っている状態だった。その時の聴こえた日本語だけを言うと



「今日ハ、攫エルターゲットハ居ナイ」

「帰ッテイイカ?」

「女、子供ハヒトリモ居ナイ」

「男モヒトリ居ナイ、マタ明日クル」



 聞いたその時はいまいちよく分からなかったが、ずっと引っ掛かっているワードが「攫う」「女子供」「一人」「ターゲット」


 何だったのか、どこの国の人だろうか・・・・・・



【※実際には見た目と言葉で人種の特定は出来ていたが、ここでは発言を控えさせて頂きます】


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