桜の花びらが川面に浮かぶ頃

海翔

第1話

 今年は暖冬の影響で桜の花が咲くのが例年より早くなるとの予想がニュースで語られていた。

奈緒子は大学時代の友人に「桜が咲く頃に女子会しませんか?」と提案したら、

由佳さんから「どうせならホテルで部屋を借りて女子会しませんか?」

「最近は持ち込みでホテルを利用する人が増えていて、後片付けはやらなくていいし、眠たくなれば、そのまま眠れるので、、、」そう聞かされて奈緒子もその方法に決めた。

 さっそく参加できる人を募ったら、智世と早苗と玲奈が参加することになった。

みんな気のおけない仲間で、よく旅行にいったり、お酒を飲んだりする仲間だった。

 4月の最初の週末に由佳さんが桜の見えるリバーサイドホテルを見つけてくれてそこで女子会をやることに決めた。

 当日は仕事を終えて、食べ物とお酒を買ってホテルに集合した。

まだ、お酒飲むには早かったので、ホテルの前の桜を見に行ったら、桜は満開で花びらがはらはらとまわりに落ちてきた。 花吹雪でその花びらが川の水面に浮かび、桜の川を作っていた。

それを見て、智世さんは「わー綺麗」と叫んだ。

みんなもその美しさに感動した。

 

 夕方になり、5人は由佳が予約してくれたイタリアンレストランに行きそこで食事をした。

テーブルを挟んで奈緒子は「今回の女子会では由佳さんに協力してもらい開催することができました」 そう言うと

「由佳さんどうもありがとう」とみんながお礼を言った。

由佳は「こうやってみんなに会えて満開の桜を見ることができてよかったです」そう言って、ワインで乾杯をした。

 奈緒子から「みなさん社会に出てからの近況報告しませんか?」と話したら、

早苗さんは「ナースになったのはいいけど、毎日すごく忙しいです。今回こうやって会えたのが奇跡みたいです」

 玲奈さん、智世さん、奈緒子は「仕事にも大分慣れて今は安定した生活を送っていますが、なかなか恋人ができません。でも、みんなの顔が見れたのと満開の桜が見れたのでよかったです」

  由佳さんは「父親の会社の秘書をしていたが、最近円安の影響で業績がよくないと話した。でも、こうやってみんなに会えてよかったです」と話した。

そして、2時間ほど話して、ホテルの部屋にもどった。

  部屋の中は結構スペースのある部屋で寝るには十分な大きさだった。

まずは、お風呂に入ろうとしたが、みんなが一斉にとはいかなくて、二人ずつ入ることにした。

 最初に早苗さんと玲奈さんが入った。

アルコールが入っているのでシャワーで体を流したが、二人ともふざけ合いながら、体を洗ったり、シャワーを掛け合ったりして楽しんでいた。

 二人が出た後に智世さんと奈緒子が入った。

奈緒子にとって智世さんのスタイルの良さは憧れだった。なんとか近づけようと日々努力をしていた。

 智世さんが浴室から出ると同時に由佳さんが入ってきた。

由佳は「桜綺麗だったね」と奈緒子に話した。

奈緒子は「みんなと花見ができてよかったです。これからはなかなかこういう時間を取ることも少なくなるかと思うと寂しいですね」と言った。

  みんな、ラフな服装に着替えて、冷蔵庫から買っておいたお酒とつまみを持ち出して飲み始めた。

 程好くお酒の量が増えたころから、恋愛話へと話が進んだ。

学生時代から発展家だった智世さんは現在も恋愛中の彼氏がいる。早苗はいつも彼氏がいる智世さんが羨ましかった。

でも、智世は「色々恋愛したけど自分にシックリした人は見つからない」と嘆いていた。

「性格はいいのだけれども、体の相性が今一だとか、、、今の彼氏も、今一の感じ、、、」

「なかなか思うようにはいかないものですね」と、奈緒子は言った。

 早苗は「私なんて忙しくて恋愛なんてできない状態です」と嘆いていた。

「その分、たまにマッサージに行ってストレスを解消している」と言った。

 奈緒子は「コロナの時は会社にいかなくてよかったのですが、さすがに飽きてしまい、会社に行くようになっても出会いがないですよ」

 由佳は「5年前に出会った彼氏と3年前に別れてから付き合っている人がいない状態で親から見合いを進められた、その当時付き合っていた彼氏は一木俊介と言って、父親は大きな会社の重役を勤めていて、よく二人で行動していることが多かったの」

「そして、私にとって俊介は初めての男性だったの」

「彼に抱かれているときほど幸福感を味わったことはなかった」

「1年前に俊介が留学でアメリカに行くことになり、俊介は私に一緒にいくことを希望したが、私はそれを断ってしまったの」

「その時、思えば、自分の我儘だった」

「ちょうど、桜が満開でこのホテルに一泊してそこに流れている川を眺め、俊介に一緒にいけないことを話したら、俊介は失望してホテルを後にしたの、その時に見た満開の桜の花びらでできた桜の川を今でも思い出すと寂しくなってしまう」

「あれから1年経ったが、俊介からは何も連絡はなかった」その話を聞いて奈緒子は「辛かったんですね」とそういった。

  智世は「みんな色々経験しているんですね。時を感じます」と言った。

窓から月明かりで見た桜ははらはらと散り、そこに流れる川をより鮮やかに色をつけていた。

 

  翌日、朝起きて、目覚めた5人はシャワーを浴びて、朝食にした。

さすがにみんなお酒を飲みすぎて食べる気力もなくなっていたが、軽く食べて現地解散をした。

  奈緒子は早苗さんの家に寄ることにして一緒に帰った。

早苗は「こんなに休めたのは久しぶりです」と言った。

「そういえば、淳一さんとはその後どうなりましたか?」

奈緒子は「淳一とは10か月付き合って、体の関係まであったが、性格的に合わずこれ以上付き合えないと思い別れました」それ以来、彼氏がいない状態で早く恋人がほしかった。

  早苗さんの家に着いて、奈緒子は早苗に「昨日、シャワーを浴びながら智世さんの肌に触れたときに、なんとも言えない感覚を味わったの、こういう感覚って早苗さん感じたことありますか?」そう言われ、

 早苗は「学生時代にそういう関係を持ったことがあり、一人でいると、ふっと、そういう関係を持ちたくなるのよ」 今もそんな感じなの、そう言って早苗は奈緒子に口づけをした。

二人はお互いの中に人肌を求めていた。

そして、着ているものを脱ぎ全裸になり、ベットに移り、その隠避な世界へと踏み込んで行った。

二人は口づけし、乳房を揉みながら、乳首を口の中に含んだ。

 そして、お互いの体を求め合いながら、二人はエクスタシーの世界に導かれた。

二人はしばらくベットに横になり、ぽーっとしていたが、奈緒子は早苗に「女子会どうもありがとうまた、会いましょう」と言って自分の服を着て家に帰った。

 

 由佳はみんなと別れ、自宅に帰った頃に携帯が鳴り、画面を見たら、俊介からだった。

掛けてみたら、 「1年ぶりですね。元気ですか?」そう言われ、由佳は「はい」と返事をした。

 俊介は留学を終えて一月前に日本に帰ってきた。

「桜の満開の時に君と別れどうしているのか気になって電話をした」

由佳は「あの時は私のわがままでごめんなさい。あの後寂しくて、何度も俊介に電話かけようか悩んだの、でも、元気でいてよかった」

俊介は「近い内に由佳に会いたい。あの思い出のホテルで会いたいが時間取れますか?」

由佳は「今週末でしたらお会いましょう」

「そこのホテル、今日の朝まで5人で女子会してました。ふっと、その時に桜の花びらが川に流れて桜の川を見たら、俊介さんのことを思い出してしまったの」

「そうだったんですか。またあの桜をそのホテルで見ましょう」と、俊介に言われ、 由佳は「楽しみにしています」と返事をした。


 そして、週末の仕事を終えて、ホテルのロビーに行くと一段と逞しくなった俊介がそこにいた。

  俊介は久しぶりにあった由佳を見て一段と綺麗になったのにはビックリした。 そして「元気そうな由佳さんに会えてよかった」といった。

由佳は「あの時はごめんなさい。私は子供でした」そう言って謝った。

俊介は「まずは再会を祝い食事をしましょう。それからゆっくり桜を見ましょう」そう言って、俊介は由佳を連れてレストランに入った。

そして、ワインで乾杯をし、その間に留学先でのことを俊介は由佳に聞かせてあげた。

由佳も俊介に会えないでいた間、寂しい思いをしていたことを話した。

 食事が終わり、俊介はこのホテルの桜の見える一番いい部屋を取ったのでそこにいこうと誘った。

部屋に入り、俊介は由佳に口づけをした。

1年ぶりの俊介からの口づけを受けて、由佳は涙を浮かべその口づけを受けた。

俊介がこれ以上に由佳を求めたら、 由佳は「シャワーだけ浴びさせて下さい」と言った。

そして、浴室に消えた。

俊介は着ているものを脱いで、外に見える桜を眺めていた。

 しばらくして、由佳は胸にバスタオルを巻いて出てきたので、入れ替わりに俊介が浴室にシャワーを浴びに行った。その間に由佳は冷蔵庫から冷えたミネラルウォーターをグラスに入れて飲んだ。

俊介が腰にバスタオルを巻いて出てきた。

 二人はベットに移動して、付けているバスタオルを取った。久々に見る由佳の体は変わらず綺麗な体型を整えていた。

二人はベットに横になり、俊介は由佳を抱き締めた久しぶりの抱擁だった。

由佳の乳房を揉みながら、乳首を口の中に入れてもてあそんだ。由佳の顔は赤身を帯びて興奮をしてきた。二人は別れてからのお互いの溝を埋めるように求めあった。

  由佳は俊介の愛の深さを再認識し、俊介は由佳とは別れられないと思った。 そして、興奮が最高潮になり、由佳と一つになった時にすべてが解放された。

由佳は溢れる涙と興奮でそれを受け入れた。

そして、二人は同時にエクスタシーを迎えた。

俊介は由佳から体を離した。

少しして、由佳はシャワーを浴びに浴室に消えた。


 由佳が戻ってきて、二人はソファーに座り窓の外に見える桜を眺め、落ちていく花びらの後を追った。

 

 そこにはピンクの花びらの桜の川が流れていた。



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