第1話 入学式
1ヶ月前、俺達1年生は入学した。
藤原さんの名前が呼ばれるまで、入学式は普通だった。
俺は自分の名前が呼ばれた後はただただ聞き流していた。
入学式が始まって40分程経った頃-
「藤原瀬奈」
校長が言った気がした。
藤原瀬奈は、俺の推しである藤田せいなの本名だ。
彼女の本名は一部の古参ファンのみが知っている、貴重な情報だ。
「はい」
おお…生せいなボイスだ…
「皆に言っておきたいことがある。藤原はアイドルをやっていて、マスコミにこの学校に通っていると知られたら大変な事になる。だから藤原がこの高校に通っている事は秘密にしてくれ。親にも言わないでおいて欲しい」
やっぱりあのアイドルかー。
クラスで生せいなを見れると思うとウキウキだ。
…いや、待てよ。
俺みたいな陰キャに大人気アイドルの日常を眺める権利はあるのか?
…絶対無いよな。
まあ、この事は悔しいけど諦めよう。俺みたいな陰キャが告白してもフラれるだけだし。
その後、特に何事も無く入学式は終了した。
今日は入学式だけ。クラスも確認したし、このまま帰るか。
俺は1年4組だ。なんと藤原さんと同じクラスだ。
そう思っていた時、男子生徒5人に囲まれた。
「…何の用ですか?」
「お前の名はなんだ?」
話聞け。
「先にそちらから名乗るべきでは?」
「あ゙?黙れ」
腹を殴られた。普通に痛い。
「…明暗です」
「明暗…お前は教室の端で大人しくしておけ。誰かに一言でも話しかけたら…」
さっき俺を殴った男子生徒は能力で火の球を作り出した。直径20cm程だろうか。
その左に居る男子生徒は能力で藁人形を作り、火の球に向けた。
藁人形は燃えた。
「こうだからな」
何?殺すって事?
怖い怖い。
「お前の能力は何だ?」
えー…
俺能力強いけど使った事ないからな…
まず使い方が分かんない。
「分かりません。使い方が分からないので」
「能力無しか」
なんか誤解されてる気がするけどそこはスルーで。
全員が俺を睨み、そのまま去った。
厄介な三年間が始まりそうだ。
プロローグの登場人物紹介
明暗純樹
主人公。高校一年生。顔立ちは整っているが陰キャなのでモテない。
能力は強いが、使い方がわからないので殆どの人に能力無しと思われている。
性別:♂
年齢:15歳
誕生日:5月12日
能力:不明
能力値:Lv.957 Rank S
クラス:1-4
藤原瀬奈
大人気アイドルグループ【ロリポップ】のセンターで、超人気。
最近ビビリなのでドッキリ番組に目を付けられ、頭を悩ませている。
性別:♀
年齢:15歳
誕生日:6月12日
能力:今はまだ不明
能力値:Lv.820 Rank S
クラス:1-4
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