隠されたキオク その3
さをちゃんはとても賢く人懐こい猫だった。
トイレは躾けなくても出来た。餌も自分が食べたい時以外は
好きなカリカリが目の前にあっても口をつけない。
盗み食いもしない。
夜はべったりくっついてネンネする。ずっと前からそうしていたみたいに
自然に寄り添ってくる。
部屋から出さない約束をしていたからか、他の家族には全く興味を示さず
私しか触らせないし、抱っこもさせない子だった。
よくできた子だと思ったけど、どんくさい…。
コタツの上に上がろうとジャンプするものの途中までしか届かず
宙ぶらりんで布団にしがみついていたり、
ベッドには上がれないので雑誌で階段を作っていたなど、
猫とは思えないほどどんくさかった。
うちに来てから外には行かない様にしていたが、外を眺めるのは大好きだった。
窓からは外の景色と鳥が飛んでいく姿も見ることが出来た。
特に鳥が飛び去る瞬間は、じーーーっとその姿を目で追っていた。
どんくさいけど、猫なんだなぁ…と猫がいる風景に癒されて日々を過ごした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます