感情屋
テルル
あらすじ
「生きているものには必ずしも感情というものがある。喜び、悲しみ、怒り、恐怖など。感じるものも場所や状況によって変わってくる。そんな感情を操れる感情屋という存在がいる。」
「感情…屋」
「自身の正体を知りたいなら会ってみたらどうだ?」
とある路地裏で男と少女が会話をしていた。
少女は表情を変えずに男のほうを見て話した。
「…場所は」
「さあな。自分で探しな」
話を聞き終わると少女は男の横を通って路地裏の奥へと歩いて行った。
「…感情屋に頼ってどう変わるかは君次第だけどな」
男はそう言葉を残して少女の反対の方向に歩き始めた。
裏の世界というのは軽い気持ちで入ってきては行けないものだ。いつ襲われるかも、いつ死んでしまうのかもわからない。その世界にはそれ相応の力と仕事がなければならない。ましては何もわからない子供とかには見せてはならない世界だ。
「すみませんが、その依頼は受けられません。聞いてる感じだとただの私怨でしかないと思うんですが」
「そこをなんとか!あそこさえ潰れてこちらの手にすれば我が社の企画はかんぺ…」
「無理です。大体人や店を消したいならそちらの専門家に頼んでもらえませんか?」
「あーそうかい。けっ、お前みたいな奴がお人好しって言ってどうでもいい奴に手を差し伸べるんだろうな」
そう吐き捨てシワがないシャツをきたサラリーマンのような男が帰って行った。
「はあ、そんな事をしてたらいつか足元狙われるぞ…」
独り言を言い、その場をさろうとした時
ドンッと奥から誰かがぶつかって倒れる音がした。
「おい!危ないだろうが!なんでガキがこんなところにいるんだよ!」
先ほどのシャツの男の怒鳴り声が聞こえた瞬間、嫌な予感がして声がした方に向かった。
「今俺はイラついてるんだ!なんでこうも不機嫌になることが起きるんだよ!」
「…」
少女は黙って下を俯いたまま、シャツの男の横を通り過ぎようとしたが…
「おいガキ!謝りもなしで通るつもりか!?お母さんから迷惑かけたら謝るって言われなかったか!」
「…ごめん」
「オマエ、感情がこもってねぇよ!俺を舐めてるのか!」
少女はしたを俯いたまま話さない。
その時、男の感情が爆発した。
「このガキ…舐めた態度を取りやがって!大人を舐めてるとどうなるか教えてやる!」
「…」
シャツの男は拳を上げ、少女の方へ振るった。だが、急に止まって少女までは届かなかった。
「おい、子供に暴力するのはどうかと思うぞ」
「なっ!オマエは!?」
少女は前を向くとシャツの男が背後から来た男に腕を掴まれてるのが見えた。
「八つ当たりもいい加減にしろ。何も関係のない子を巻き込むな」
「お前が依頼を受けないからこっちはイラついてるんだよ!さらにこんなガキ舐めた態度をとられて腹立つに決まってるだろ!」
「はあ…とりあえず邪魔だ」
そう言うと背後の男はシャツの男の足を蹴った。シャツの男は倒れさせると背後の男は少女に近づいた。
「ごめんな。こんな怖い思いをさせて。もう大丈夫だからもう少し待ってな」
「あなたは」
少女が話した直後、後ろから倒れたシャツの男が立ち上がった。
「この野郎…!どいつもこいつも舐めやがって!」
「…怒りだけで行動してもよくないぞ」
直後、振り返りシュッと腕を出し、シャツの男の顔面を片手で掴みんだ。すると掴んだ手のひらが光出した。
「別にそんな感情はいらないだろ」
そう言うと同時、シャツの男の顔から黒く禍々しい玉のようなものが出てきた。
だが少女はそれより言葉をかけてくれた男が背負っている剣のような物に目がいっていた。
「はあ、どうしたらここまで黒くできるのか知りたいよ」
そう言うと持っている玉を握りつぶした。
玉は粉々になり、同時にシャツの男もその場に膝から倒れた。
「ふう、おじさん落ちきました?」
剣を持った男が急に丁寧な言葉をかけた。
するとシャツの男は周りをキョロキョロしてから話し始めた。
「えっ…あーすみません。つい興奮してしまって」
「いえいえ、この辺は危ないので早く戻った方がいいですよ」
「あっ…わかりました。先ほど無理言ってすみませんでした」
「大丈夫ですよ。気をつけてお帰りください」
そのままシャツの男は急ぐように剣を持った男と少女の横を通り抜け路地裏から出て行った。
少女はボーッと男を見て何も話さなかった。
「さて、怖いところを見せてごめんね。どこから来たんだい?そこまでついてってあげるけ…ど」
男は話ながら振り返り少女の方を見ると言葉詰まらせてしまった。
「君…どこから来た?」
「あなたが…」
その時、少女は男の言葉をさえぎって一言。
「あなたが…感情屋」
「…なるほど、依頼人か。とりあえず一旦安全な場所に行こう。話はそれからだ」
感情屋は立ち上がり、少女と共にその場を後にした。
これは謎の少女と感情屋という裏の人間の物語。
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