◆序章
暗い部屋の中、若い男が
足元の蝋燭の外側、見下ろすように男が立っている。長い
男は人差し指と中指を立てて口元に当て、唱える。部屋の
蝋燭の
横たわる身体から白い蒸気のようなものがわき上がり、集まってひとつの
男は指先を勢いよく遺体に向けた。
その
「
夫婦が声をあげて
遺体と同じ顔をした
『……寒い、寒い』
「子龍! 聞こえるかい! 母さんだよ! 助けてあげられなくてごめんね」
母親が
「子龍、教えてくれ。役人たちはお前が自ら川に身を投げたのだと決めつけたが、そんなわけはないだろ。試験に受かって
幽体はうつろな目を両親の方へ向ける。
『
「幼なじみの慕白? 会いたいのか? 彼に聞けば何かわかるのか?」
『……慕白は、どうして……』
幽体がゆらりと揺れる。
蝋燭の炎の
『どうして、私を
母親が目を見開いた。
父親は口を開けたまま
大きく揺れてから、幽体は四散して
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