第三二話 会議という名のプレイ


 球技もとい実験を終えた後。

 俺とソフィアはエリザと共に拠点中央の施設へと移動し、会議室へと入った。


「まだ誰も居ないようだな」

「えぇ、全員が揃うまでしばらくかかるかと」


 エリザと会話を行う最中、一人、二人と入室してきたのだが。


「……? なぜ座らないんだ?」

「彼女等は別の意味での参加者ゆえ」


 その後も大勢の《戦乙女ヴァルキリー》達が入ってきたのだが、大半が壁際に背中を預け、椅子に座ろうとはしない。


 ……これはつまり、そういうことだろうか。


 そんな予想は次の瞬間、確信へと変わる。


 何名かの《戦乙女ヴァルキリー》がそのとき、あるモノを室内へと運び込んできた。


 シングルサイズの、ベッドである。


 ……もう完全に、そういうことだった。


 しかし、まぁ、もしかしたなら間違っているかもしれないので、エリザに問いかけるようなことはしない。


 その後もしばらく待ち続け、参加者が全員揃ったところで。


「《邪神》・ゾルダ=ゴー=グラフト。これを討つ具体案を出し合いたいと思う」


 エリザを主導として、早速、会議がスタートした。


「《邪神》を討つにはまだ、我々には何もかもが足りてない」

「全体的な戦力の底上げは当然として……決定力が欲しいところだな」


 参席者は誰もが真剣だ。事が事であるため、ユーモアが入り込む余地すらない。


 ……そうだからこそ、こう思う。


 これはおふざけではないと、言い切れるのだろうか?


 真剣を極めた会議の只中。

 俺はベッドの前で、一人の《戦乙女ヴァルキリー》と向き合っていた。


「最初は君か」


 相手方……シャロンへと呼びかける。


「はい。よろしくお願いします。…………オズワルド様」


 あの一件を経て少しは心を開いてくれたのか、シャロンはこちらのことを大賢者という異名ではなく、名前で呼んでくれるようになった。


 そんな彼女も含めて、壁際で待機している《戦乙女ヴァルキリー》達は会議への参加者ではなく……強化行為プレイへの参加者である。


 さりとて、俺の仕事は行為のみではない。


「オズ殿。先程の意見についてはどう思われますか?」

「あぁ、そうだな。個人的には――」


 こうして、しっかりと会議へ参加する必要もある。


 実に馬鹿馬鹿しい状況だが、間違いなく合理的であるため受け入れるしかない。


《邪神》との決戦がいつ始まるかわからない今、求められているのは時間効率……即ち、マルチ・タスクであろう。


 ゆえに俺は、会議と強化行為プレイ、両方を同時進行させることになった。


「オズワルド様。いかがなさいますか?」

「ん、そうだな。……ちょっと、俯せになってくれないか」

「……はい」


 以前とは違い、シャロンの顔には嫌悪感めいたモノがない。

 むしろほんのりと頬を紅くして、どこか期待しているような眼差しとなっている。


 ……こういった経験は初めてのことだった。


 こちらに好意を向けてくる相手は大概、エリザのように最初から好感度が高い者ばかりで、シャロンのように嫌悪から好意へ転じた者は一人として居なかった。


 それが原因、だろうか。

 この子のことが特別、愛らしく見える。


「……? 私の顔に、なにか?」

「い、いや。なんでもない」

「そうですか。では、ご希望通り、俯せになりますね」


 ……大賢者だった頃、弟子の一人がこんなことを言ってたな。


 ハナっから股を開く女よりも、攻略して落とした女の方がエロく見える、と。


 その当時は馬鹿らしいと一蹴した意見だったが、あながち間違いではなかったのかもしれない。


「これで、よろしいでしょうか?」

「あ、あぁ」


 目前の様相に俺は生唾を飲んだ。


 シャロンは胸こそ小ぶりだが、代わりに尻のレベルが極めて高い。

 サイズ感、形状、そして柔軟性。

 全てが最高品質であるため、どれだけ揉みまくっても飽きがこない。


 そこに加え、今は攻略済みの美少女という付加価値も付いているため、シャロンの尻に対する興奮度合いは以前よりも遙かに高まっている。


 ……とはいえ。


 今回の強化行為プレイは普段のように、欲求が赴くまま行うものではない。

 先の実験を踏まえたうえで、今後の内容面について模索したいと思う。


 さしあたり、最優先で試すべきは、先刻エリザに提案されたアイディア。

 即ち――


 である。


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