第七話 ドスケベエルフにお世話(意味深)してもらうことになりました


「あんたが入っちゃいけないような場所はないから、自由に歩き回っていいと思う」

「あ、あぁ」


 ソフィアと共に基地の中を歩く。

 彼女が先導し、俺が付き従う形だ。


「あそこは食堂で、そこから前に進むと大浴場が――」


 色々と説明をしてくれるソフィアだったが、その半分も頭の中に入ってこない。


 なぜならば。

 目前にて揺れ動くソフィアの尻が、あまりにもエロかったから。


戦乙女ヴァルキリー》が纏う装束はあまりにも露出度が高い。

 それは彼女とて例外ではなかった。


 もうほとんど下着丸出しである。

 それも布面積が非常に小さいため、何も隠せてはいない。


「そこの階段は地下室に繋がってるんだけど――」


 ソフィアの歩調に合わせて、尻たぶが「むちっ♥ むちっ♥」といやらしく揺れ動く。


 そんな様に目を奪われていると、


「ねぇ! あんた、さっきからあたしの話、聞いてないでしょ!」


 ついにバレてしまった。


「え、えっと、その……き、君に、見とれていたというか」

「は、はぁっ!?」


 白い美貌に芽生えていた怒気が、一瞬にして羞恥へと変わった。


「ど、どうせ、お尻ばっか見てたんでしょっ! あんた昔っからむっつりだったもんね!」


 図星だったため、何も反論が出来ない。


「ご、ごめん。これからは極力、別の場所を見るようにするよ」


 言いつつ、ソフィアから目を背けるのだが……

 どこへ視線を移そうとも、そこにはエロスが広がっていた。


 歩き回る者達は全員が美しい女性。


 それも皆、例外なくドスケベな衣装を身に纏っていて。


 なぜだかこちらに熱っぽい視線を送ってくる。


 ……皆にとっての俺は清廉潔白な大賢者であり、偉大な救世主なのかも知れないが、俺自身は自らをそのように捉えてはいない。


 ただの村人。それも年頃の男子である。

 こんな環境で、ドギマギしないわけがない。


「~~っ! み、皆のことまで、いやらしい目で見てんじゃないわよっ!」


 激怒するソフィア。

 悪いと思いつつも、道行く美少女 《戦乙女ヴァルキリー》の露出した尻に目をやってしまう俺。


 彼女はそんなこちらの頬を両手で掴むと、無理矢理に注目を奪い、


「あたし達の格好はね、ご~り的な判断をした結果なのっ! 《戦乙女ヴァルキリー》は人間よりも遙かに頑丈で、防具を装着する必要がない! だから極限まで機動性を重視した結果、こういう格好をするようになったのっ! 別にあんたを誘惑するためじゃないんだからっ! エッチな目で見るのは、その……あ、あああ、あたしだけにしなさいっ!」

「えっ。そ、そういう目で見ても、いいの?」

「い、いいい、いいわけないでしょっ!」

「さっきの発言と矛盾してるんだけど」

「うううううう……! み、見たきゃ好きにすればいいじゃないのっ! どうせダメって言っても見るんでしょっ! このむっつりスケベっ!」


 顔を真っ赤にして怒るソフィア。

 叫ぶ度にブルンブルンと爆乳が揺れる。


 今のところソフィアとエリザのツートップだな。

 この二人がダントツにエロい。


「と、とにかくっ! ご飯食べにいくわよっ! お腹空いてるでしょっ!?」


 彼女はぷりぷりしながらも、こちらの手を握って、再び歩き出す。


 掌に伝わる柔らかな感触。

 細くて、小さくて、温かい、ソフィアの手。


「むっ。な、なにニヤついてんのよ」

「いや。君と手を繋いでいると、なんだか勝手に」

「ふ、ふ~ん。あたしと手ぇ繋ぐと、そうなるんだ。ふぅ~~~~ん」


 本人としては「別にどうでもいいですけど?」みたいなふうを装いたいのだろうが。

 めっちゃくちゃ頬が緩んでいる。

 嬉しくてたまらないといった顔をしている。


 なんだこの可愛い生き物は。


 俺はしばし、彼女のことだけを見つめ続けた。

 スケベ衣装を着た他の《戦乙女ヴァルキリー》達への興味は――


 まぁ、捨てきれなかったので、結局ソフィアに頬をつねられた。痛い。




 ――それから。

 食事を終えた後、ソフィアがこちらをジッと見つめながら、こんなことを言い出した。


「さっきから気になってたんだけど……あんた、やっぱりお風呂入った方がいいわ」

「えっ。お、俺、そんなにも臭い、かな?」

「あんたの認識としては朝に目が覚めた感じ、なのかもしれないけど、実際は数百年眠ってたようなもんだから、ね」

 

 直接的な表現を使わないあたり、この子は本当に気遣いが出来る人なのだろう。


「この時間帯は誰も浴場使ってないから、ちゃちゃっと入ってきなさいよ」


 そういうわけで浴場に移動。


 まず更衣室にて衣服を脱いでから、風呂場へ繋がるドアを――

 開いた瞬間、俺は目を見開いた。


 この時間帯は誰も使ってない。そう言っていたが、実際には。


「えっ」


 先客が居た。

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