第三話 エロい美少女達VS金属の怪物
瞬間、夕焼けを背景に佇む、巨大な建築物の様相が目に飛び込んでくる。
それらはきっと、平時であれば美しい街並として映っていたのだろう。
だが……これはどう見ても、平時とは言い難い。
「こ、のぉおおおおおおおおッ!」
「増援が来るまで持ちこたえろッ!」
飛び交う怒号と轟音。
巻き起こる破壊の連鎖。
まさに戦場の光景そのものであった。
しかし、この場で展開されているのは、人間同士の争いではない。
怪物である。
鋼で構成された昆虫、あるいは獣といった怪物達が、金切り音に似た叫びを放ちながら暴れ回っていた。
そんな様相だけでも異常極まりないというのに。
それを相手取っている者達の姿が、現場の非現実性を高めていた。
幼女。少女。成女。
年齢を問わず、誰もが肌を大胆に露出させた格好をしている。
急所を申しわけ程度に覆った、鎧のような何か。
あるいは、防御力を放棄したかのような、羽衣めいた装束。
そうして各々、武器を振るってはおっぱいを揺らし、地面を蹴っては尻を揺らし……
「なんだ、これは」
あまりにも現実味がない光景に、呆然と口を開く。
そんな俺の隣で、
「とりあえず近場から片付けるわよっ!」
エルフの少女が、何やら期待感に満ちた目を向けてきた。
俺にどうしろと?
そんな視線を返した直後――一際激しい音の奔流が、鼓膜を破らんばかりに刺激する。
「っ! どうやら、大物が来たようね……!」
少女と同じ方向へ目を向ける。
背の高い建物を破壊しながら進む、巨大なバケモノの姿があった。
その姿は、金属製のムカデといったところか。
長大な体で破壊の連鎖を巻き起こしながら、こちらへと向かってくる。
「……夢だ。絶対に夢だ。こんなの」
額に浮かんだ汗が頬を伝って、地面へと落ちた、そのとき。
「ハッッ!」
夕焼け空を背景に一人の女性が金属ムカデへと落下。
そして、手にした紅い槍を繰り出すのだが――
激しい衝突音が鳴り響くと同時に、槍の穂先が弾かれた。
そのまま彼女は地面へと落下し、綺麗な受け身を見せた後。
「むっ……!」
少し離れた場所から、こちらへと視線を向けてくる。
あの獣めいた耳からして、獣人族か。
年齢は俺よりも上だろう。大人の色気がムンムンに立ちこめている。
褐色肌に浮かぶ玉のような汗。
長身で筋肉質な体は、一見すると女性的な魅力からは懸け離れているように感じられるが……
しかし、むっちりとした太股と銀髪エルフに負けず劣らずな巨乳が組み合わさることで肉感の強さが強調され、抜群のエロスを醸し出している。
「ソフィア!」
銀髪エルフへと目を向けつつ、褐色のエロ獣人が駆け寄ってくる。
揺れ動く巨乳。
さらりと靡く赤髪。
美とスケベの結晶がどんどん近付いてくる様は、興奮を禁じ得ないものだった。
……それにしても。
ソフィアという名前を耳にした途端、なぜだか奇妙な感情が芽生えた。
何か、変だな。
まるで大事なことを忘れているような。
「無事だったか!」
「と~ぜんでしょっ! あたしを誰だと思ってんのよ!」
得意満面な顔してデッカい胸を張る銀髪エルフ、改め、ソフィア。
どたぷんっ、て擬音が聞こえてきそうだ。
「と、ところで。貴殿は――」
赤髪の褐色獣人がピンッと獣耳を立たせながら、なぜか畏まった様子で話しかけてくる。
それに対して何か応えようとするよりも前に。
「GYAAAAAAAAAAAAAAA!」
金属ムカデが、迫ってきた。
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