それでも僕は空を舞う 明日の夜空を守るため

@8492adler

第1話 プロローグ

キィ―――ン

基地の上空を一機のF-15Cが旋回する

いつも通り、武装は0になって燃料もギリギリで


《こちらズール4から管制塔へ 着陸許可を求む》


《こちら管制塔 許可する さっさと降りてこい》


空母艦載機のパイロットにありがちな姿勢で前輪をついた後に後輪を付ける形で着陸

そのまま停止せずに格納庫へと向かう


《ズール4 今日もお手柄だな ルーキーのくせして8機撃墜とは》


《…そんなことはない 目に見える敵機を落としてたら誰でもこうなる》


格納庫に入り、コクピットが開き中から青年がおりてくる

彼の名は三隈朱雀(みくま すざく)

TACネーム スフル ズール隊の4番機


コクピットから降りた彼を迎える整備員がいる

「よぉルーキー 今日もお手柄だなぁ んで?このエンジンの焼き付けはなんだ?」


彼女の名は高穂黎菜(たかほ れいな)

この基地一の整備員


朱雀がパイロットルームに入ると

出撃前には8人いたパイロットが4人

朱雀を含めても5人

確認できたのは2人だけだったが、どちらも朱雀の目の前で機体ごと爆散していた

「ルーキー また生き残ったか」

そう話しかけるのはこの隊の隊長

神後凛空(かみご りく)

TACネーム オウル

「あぁ悪運だけは強いもんで死神さんも逃げ出してるらしいです」


テレビでは連戦連勝というニュースが流れている

そんなわけあるかよ

とぼやきながらソファーに座る


にしても今日の空戦はすごかった

迎撃戦で防空圏に侵入してきた爆撃機を撃墜したが

護衛機が敵のエース部隊だった

こちらがF-15Cが8機に対して相手はMiG-29が5機

普通なら勝てるはずの機体だが、パイロットが良かった

辛くも敵機は全機墜としたがこちらも数少ないパイロットを3人も失ってしまった


この戦争が始まって2か月

前線の基地はもう疲労している

(だが、俺らがやらなきゃ誰がやるんだって話だ)

そう思いながら、部屋を出て機体を整備中の黎菜のもとに向かう




この物語は空を駆ける朱雀とそれを助ける黎菜の物語

誰かの笑顔を守るために 

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