2024年4月 ①
花曇り 去年の日誌のよそ行きの文字がデスクでしずかに踊る
前作の主人公として続編のヒーローたちを見守る春だ
ちいさめの桜の鉢を買った日は冷たい雨が降っていたのに
アタシたちサイキョーすぎる四人組のまま一生過ごせなかった
すこしずつ冬を忘れていくように編みかけのままのマフラーほどく
ぜったいに売れなきゃみたいなこともなく老後みたいにしずかな歌詠
無機質なカフェが流行ってこの星で孤立しながらパフェを崩した
四光年離れた先の惑星できみによく似た男が頓死
野菜から食べれば痩せる本日のメニューは肉肉卵はんぺん
青いろの矢車菊が冴え冴えとひとりで歩くわたしを祝う
ベランダに散らばる桜の花びらをdysonでひとつひとつ吸ってく
愛情は等しくあってそれなのに庭木に水をやるのはわたし
公園のフリーマーケットに出るために棚卸していく恋や愛など
あたらしいバケットハットを春風がバケーションへと攫っていった
新しい街にはパン屋が多すぎて米派は肩を丸めて歩く
ペン習字やろうかなんて十年前まったく同じ話したじゃん
良性の腫瘍みたいに残ってるあなたがくれた桜の記憶
はりぼての緋鯉よ高く飛んでいけ世界がおまえの池となるまで
取り壊し間際の空き家のタンポポが記憶のように綿毛を飛ばす
あたし春 三月生まれで陽気だし自律神経乱れがちだし
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