第18話 お金が足りません。

結論を言おう。戦闘は無事に終わり、

パーティーの人達は配信を終えて

無事に帰れた……と思う。


僕はのらりくらりと脱出して換金をした。

20万エル、勿論学費と食費と

その他諸々によって溶かす予定。


結果として一ヶ月間で一番の経験はこれで、

僕としては結構良い体験だったと思う。

コミュニケーションを除けばね。


いや、うん。コミュニケーションも

大事な経験だけどね。僕としては勉学に

そもそも定一杯だったし。


そう考えると結構コミュ障になってた?


まあ、それはさておいて来たる今日は

試験当日であり、落ちたら終わる。

ハイリスク・ハイリターンの極致だ。


予習と復習は十分。知識は全てを

詰め込んだはず。実技試験も突破できる。


いざゆかん!受験へ!




――――――――――――――――――――




という事で受験は以下の通りであった。


8時30分頃までに学園に到着した僕は

案内されて会場へと移動する。

懐かしいなぁ、この緊張感と思いつつ

復習をしつつ時間まで過ごした。


9時頃。受験内の説明があった。

大体の内容としては、受験中は

カンニングしてはいけないという事。

筆記用具の貸し借りは禁止だという事。

魔法の使用は禁止だという事。

その他、疑われるような不審な行為は

しない事。


9時10分。魔法学のテストが始まった。

「魔法の始まりは〜〜である。

この空欄に当てはまる文を答えよ。」

という問題や、

「魔法の発動には〜〜、〜〜、〜〜に

分かれている。

この空欄に当てはまる言葉を答えよ。」

という問題があった。


ちなみに、歴史から一部を切り取って

その時代の資料を読み取って、

時代背景を魔法と絡めて答えよ。

というあまりにも理不尽な問題があった。

ちなみにヴァルハラなしで全問埋められた。

現代人をあまり舐めるなよ。


10時10分。数学のテストが始まった。

言うこと無いね。自己採点で満点だったよ。


11時10分。魔法用語のテストが始まった。

魔法用語は基本的に単語を覚える、

「記憶力」が強く影響するテストで、

単語やその意味を答える問題が多々あった。


このテストの前に応用の強い魔法学と数学を

並べるあたり、かなりずる賢いようだ。

さすが名門。一夜漬けを入れさせない。


12時10分。国語のテストが始まった。

休憩時にちらりと周りの様子を見たが、

皆が大分疲弊している様子だった。


テストの内容は大方都立入試と同じで、

説明文や小説の長文読解、古文についての

討論の読み取りや、古文の知識問題。

違った所は漢字の書き読みが代わりに

国語の知識問題に変わっている所だろうか。

数学や理科の小問集合を彷彿とさせた。


13時からは45分の昼食・休憩タイムが

あった。

今日の弁当はサンドイッチである。

風で食材を頑張って宙に浮かせながら

包丁で切った。まな板まだ買ってないしね。

あとホテルに傷がついたら

どうしようもない。


13時55分からは社会のテストが始まった。

この国の地理や歴史といった物が

数多く出題された。

この国は貿易が少ないのかは分からないが、

世界史などの問題は全く出てこなかった。

代わりに我が国の発展にはどのような

政策をするべきか、という問題もあった。

一応資料があったが、どれもダンジョンの

特産品を使った政策をするべき。

といっている風に聞こえてならなかった。

僕の考え方がおかしいのだろうか。


14時55分からは実技試験があった。

簡単な魔法を的に放ち、試験官が採点する。

そんな試験だった。

試験の中で一番楽だったと思う。


ちなみにだが、面接は無かった。

やはりアーティファクトの権能に

頼っている面が強い。

だから主人公と敵対する羽目になるんだよ。

この独裁国家め、いや学園か。


そんな訳で受験が終わったらやる事は一つ。

ダンジョン攻略だね。

今日も今日とて学費を稼ぎます。

最近はダンジョン攻略しかしてないなぁ。

後は勉強か。


『打ち上げとかはやらないのでしょうか。』


ではここで問題です。現在、稼ぎに稼いだ

おかげで貯金が100万近くあります。

そして原作の設定資料集では入学に

150万エル程度が初年度に必要です。


そして明日が合格発表日。


つまり、残りの50万エルを受かっても

受からなくとも稼がなくてはなりません。

そこでだヴァルハラ。君の力を借りたい。


『なんでしょうか?』


上級ダンジョンに不法侵入しようと思う。


『理由をお聞かせ下さい。』


お金足りない。入学までに稼ぎきれない。

つまりもっと稼げるダンジョンに行きたい。

上級ダンジョンしかない。


『了解しました。』


よし。ちなみに作戦はどうする?


『高速でダンジョンに潜入するか、

魔法を使って存在を隠蔽する方法が

あります。後者は時間が掛かりますね。』


ふむふむ。どのくらい?


『10分程度かと、その間は動けませんね。』


性転換状態にはならなくて良い?


『性転換状態になる必要はあります。』


こっ、公開処刑だと。


『慣れたと仰っていませんでしたか?』


男性にいきなり女装して街を闊歩しろと

言っているようなもんでしょそれ。

いやだよ。女性になって街にいるの。

というかゴスロリ目立つじゃん。


『衣装を変えずとも変身できますが。

後、前に見た目を弄って現在の状態を

保っていたではありませんか。』


あっ、そうじゃん。隠蔽の作戦で

お願いします〜。

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