その猫は

あんとんぱんこ

第1話

私は、その日なぜか、大きなご飯をくれていたメスから置いていかれたらしい。


いつもなら、寝床にしている大きな箱の横っちょのウ~ンと唸る箱の下で一緒に丸まっている時間なのに。


冷たい風にぶるっと震えて目を覚ますと、大きなメスは居なくなっていた。


少し前にいつの間にかいなくなっていた小さなオスの事を、なぜか思い出した。


私より小さくて、のろまで、ヒョロヒョロなオスだった。


走るのも遅くて、いつの間にかどこかに行ってしまった。


1人じゃ寒いのに。


お腹が、空いたな。


この前に食べた、しっとりとカリカリの混ざったのが食べたいな。


あの人間、また来ないかな。


あの人間のメスは、嫌な臭いがしなかった。


他の猫の匂いがたくさんしたけど、別に嫌でもなかった。


不用意に捕まえようとしなかったし、痛いことも苦しいこともなかった。


あの人間のメスの持ってくるのもなら、また食べてもいいな。


何か探さなきゃ。


お腹すいたし、ここは煩くて寒い。

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