閑話 冒険者ギルドの無能

工戸公国内の冒険者ギルドサガミ本部のギルドマスターの部屋、そこで受付嬢2人とオガミが何やら会話をしている。

「ですからギルマス、私がアリシアを受付に1人で居させて依頼主の依頼ぼ相談を受けた事は何度も謝り反省したじゃないですか」

「いやいや、今回はそうもいかんのぢゃ。何せギルドの信用問題に関わる事なんだからの、現に公爵家より、家令のマーシー・クワマン殿の直筆の抗議文が来ておるからの」

現在会話している3人がこのギルトの職員で、1人は受付嬢である『アリシア』という女性と、もう1人の受付嬢は『レイナ』と言う女性だ。

「何故に、私が・・・。」

レイナは深い溜息をつきながらアリシアを見る、アリシアは自分が怒られるのが不満なのか不貞腐れて反省をしているように見えない。

そしてそのアリシアが今回の公爵家の人間の素性暴露騒動を起こした張本人でありギルドとしても最重要処分案件だが、その事に対して何度もほぼ無関係のレイナがオガミに謝罪をしていた。

「今回の件は私も深く反省しております。でも、私にも立場があるんです。今回のような失敗を何度も犯す訳には行かないのです」

アリシアもオガミへと深く頭を下げ、謝罪をしているのだが反省の色が見られないのである、それ故にオガミもそれに対し処分保留に出来ないのである。

そしてその光景をただ壁越し聞くだけのギルド職員が1人、しかしそれは同情したからではない。

彼もまたレイナと同じくこのギルトの仲間であるのだが、彼は今回の騒動を起こしたアリシアに対してあまり良い印象を抱いてはいないようだ。

そんな光景を見ていた中、その静寂を破るかのように扉をノックする音が部屋に響く。

その音に3人は扉へと視線を向け、1人がゆっくりと扉を開けるとそこには2人のギルド本部職員の姿があった。

彼らは工戸公国の担当であり、今回の騒動の報告を受けこの場にやってきたのだ。

しかしそれは同時にアリシアにとっては事態が悪化したという事である。

「私は、悪くないんです。公爵家の人間がギルドに刀を貰いに来るなんて何て、出来の悪い罰ゲームをしているかと思うじゃないですか。私は、温い環境で育った貴族のおぼっちゃまに世間の風をほーんの少し当てただけですよ。何かいけない事ありますか。ないですよね、ギルド創立以来で1番優秀な私に間違いなんてないで...。」ゴスっ、バキッ、がスっ!

当然それを理解しているアリシアは何とか弁明を行おうとするのだが、その行為はオガミの拳によって物理的に止められてしまう。

そのまま暫くの間、彼女は何を言っても無駄であるということを理解しただただ報告を聞いていた。

アリシアの問題が発覚してから数日が経ったある日、彼女は工戸公国のギルド本部から呼び出しを受ける。

そして到着するとすぐにギルド長の部屋へと案内され、そこで今回の件についての説明が行われた。

まず今回の騒動に関してだが、工戸公国への賠償金の支払いと関係者であるアリシアに重い罰則が与えられることになったようだ。

更にこの騒ぎを受けて本部はアリシアに対して即刻解雇処分を下し、ギルドからも追放とする案が検討されているという現状である。

今回の件に関して工戸公国はあくまでもアリシア個人の問題とし、ギルドとして処罰をすることは考えていないのだが、アリシアが勝手に暴走し起こした事件であり、工戸公国との親交に亀裂が入る恐れがあると考えたようだ。

そしてその処罰の内容なのだが……不利下津ブー・リ・シァ・ジンにあるギルドマスターになる事であった。

3日後アシリアは不利下津ブー・リ・シァ・ジンへ行く船に強制的に乗せられ旅立って行くのであった。

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