チューニングソウルZERO〜SOUL RESTART ENGINE〜
矢守龍
第1話 事故とやり直し
真っ赤に燃え盛る炎、充満するガソリンの燃える匂い。俺はそんな炎に向かって走っていこうとしていた。それを必死に引っ張られながら止ようとしても俺は向かおうとしていた……
事故をおこした仲間を炎の中から救い出そうと必死になっていた。消防車が来ても俺はその炎に向かおうとしていた。
あの日の炎を俺は忘れない……
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事故から3ヶ月後
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俺は気持ちの整理が追いついて居なかった。あの日の起きた事故、1台の車が大きな事故を起こしドライバーが亡くなった。奇跡的に巻き込んだ車はなかったが俺は大事な物を失ってしまった。
あの後、
ピンポーン……
誰か来たようだ…
俺は家に来たやつに会いに行くため
玄関の扉を開けそこに居たのは、俺の仲間の一人、にとりだった。
「やぁ、元気か?」
と彼女は言ってきた。
それに対して「元気だ」と言ったが、
「元気そうには見えないが…」
あっさりと見破られてしまった…
にとりもあの事故の時に居て俺を炎に向かうのを食い止めていた。
あの日から俺を心配していたが俺は未だに立ち直れずに居た。
「ちなみに今日はなんの用で来たんだ?」
俺がそう聞くと…
「実は……」
何か言いづらそうな感じを出していた。
「私……引っ越す事になったんだ……」
「えっ……」
驚かずにはいられなかった。
「どこに?」
食いつくかの様に聞いた質問に対して
「大阪」
にとりはそう答えた。
「仕事の関連で大阪に引っ越さなければいけなくなっちゃって、今日はお礼参りしに来たんだよ。」
俺は
それからというものにとりの話が全く頭に入らずにいて気づけば帰ってしまっていて夜になっていた。
(俺はこの先どうしよう……何をしていけばいいのか……)
俺は
そんな中1本の電話が鳴り響いた。
俺は電話に出る事にした。
「もしもし」
俺がそう聞くと…
「もしもし、矢守さんのお宅で間違いないでしょうか?」
「はい、間違いないです。」
俺がそう答えると
「うちの弟、☓☓☓が残した車についてなんだけど、少し相談があって。」
俺はその話をきき車がある所に向かった。
聞いてみると整備工場に置いてある弟の車を解体を手伝って欲しいという事。あいつの遺書に俺に手伝いを求めるよう書かれていたらしくご丁寧に電話番号も書いてあったと聞いた。
俺はその車に近寄りしばらく眺めていた。
事故を起きたあの日、近寄れなかった車に近づけたという事ともう一緒には走れないという事実を受け入れるしかなかった。
10分程見つめた後、俺は作業に取り掛かった。エンジン、ミッション、サスペンションなど取り外していく内にあいつと一緒に走った日々を思い出していった。
(このエンジン、一回ブローしたーって騒いだけど軽傷で済んでの良かったーってよく言ってたな…)
(このミッション、ギア比が狭くてよくフケ上がっていたな…)
(このサスペンションも車庫調でカッコよさ重視とかいってよくにとりを困らせてたな…)
パーツ1個1個全てに思い出があって取り外していく度に思い出していった。
俺がCPUを取り外し眺めていると違和感に気づいた。あいつはいつも何かを変えたら言うはずなのにこのパーツだけは何も言わなかったからだ。
俺はおおよその分解を終えた
俺は海岸沿いで車を停めたあと、譲り受けたCPUを見ながらとある決心をした。
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1ヶ月後
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私は少し後悔していた。あいつを置いて大阪に行く事を。
事故が起きてからあいつは無気力になっていて私が引っ越す事を伝えると驚いており寂しい顔が伺えたからだ。でも、引っ越さなければいけない。
大阪に向かおうと車に乗ろうとしたその時
ブォォォン!
1台の車が近づいていた。その車は近づいてきて車を止め扉が開き一人の男が降りてきた。
あいつが別れを言いに来たらしい。
「もう行くのか?」
あいつがそう聞いてくると
「そうだよ、今から大阪に引っ越すよ」
そう答えあいつは納得した様子でこっちをみて笑った。
「そうか」
あいつがそう言ってきた。その一言で私の後悔が少し晴れた。
だが、あいつが言った一言に驚いてしまった。
「俺も大阪に行く」
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「俺も大阪に行く」
俺はそう言った。あいつは驚いていた。そりゃそうか、昨日まで事故の事で立ち直れなかったやつが急に大阪に行くなんて言い出すんだもん。
「どうして?」
にとりがそう聞いてきて俺はこう答えた。
「やり直したいからだ、ゼロなら全部。俺は落ち込んでいたがこのままじゃ迷惑をかけ続けるだけだしあいつもそれを望んではいない。俺自身が変わる為にゼロからやり直したいんだ。」
俺がそう言うと
「分かったよ、あっちでもよろしくな」
とにとりが笑って答え、俺は「あぁ!よろしくな!」と返した。
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かくして俺とにとりは大阪に引っ越すことになり、東名高速を使い大阪に向かっている。
インプレッサのエンジン音と追い越し車線から抜かす車の走行音が響き渡る車内、俺は今後について考えていた。あっちでチューニングショップを開くのも良し、普通に働くのも良い。これから先の出来事に胸を膨らませているとあたりが明るくなり始めていた。
東名高速に朝日が降り注ぎ始めた。
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