むかしむかしの、2.5次元

@D-S-L

はじまりはじまり

やあやあ、Yo-Yo-ヨーヨー、お集まり。

はじめまして、こんにちは。


旅する俺の、歌はお望み?

通りすがりの与太話。

まあまあ、そんなに畏まらずに、

寄ってらっしゃい、聞いてみい。



始めに俺が、言う事にゃ、

どこか遠く、遥か西。

とあるちっぽけな、村が一つ。

こいつがホントにつまらん村で、

都市の連中に聞いてはみても、地図で示せんくらいだぜ?


そこにはまあ、畑があった。

家もちょこちょこ、子どももチラホラ。

ここでは活計たづきの類とやあ、農夫に酒場、粉ひき、パン屋、大工に鍛冶屋とそればかり。

偶に牧人を雇って呼び入れ、家では奥様はりいと仕事。

あとは病がちってえ、白髪しらがの少女が、祈りの声も、届かねえってんで、

村の外れの端っこに、声も出さずに、引き籠ってやがるが、

これはまあ、今はどうでも良いや。


とかく、とにかく、その村ってえのが、

平々凡々、いや、そのチョイ下。


そこらの村じゃ、お決まりのように、小さな教会もセットで置かれ、

毎日熱心にお祈りするなあ、大抵の場合は年寄りか物好き。

司祭もほとほと、困ったもんだ。

継いだばかりの、へっぽこ僧侶。

頭を抱えて、首を捻れど、

良さげな方策、浮かぶわきゃねえ。


それで浮かびゃあ、苦労はねえわな?


さてよ、そんだけ寂しげな風情、

閑古鳥だって、鳴かず飛ばずてぇ時に、


ある日ひょっこり、現れたなあ、

村一番の怠け者、声だけデケェ、愚かなあんちゃん。


この表六玉は、間抜けなもんで、

テメエの物臭に嫌気が差して、

これこれこうだと懺悔しに来た。


返す司祭も司祭の方で、こんな僻地の二代目で、

出世の「し」の字も知らないままで、纏まっちまう甲斐性無し。


そんな二人が、壁を挟んで、ツラ突き合わせて、ツラいと嘆けど、

タメにも深みにもなりゃしない。

互いにムスッと、難しい顔して、

鹿爪らしく、「うん、まあ」、で終わりだ。


困っちまった、あんちゃんは、

聖堂にあった、石造りって風情の、女天使様の形の像に、

「なんとかなんねえ?」、なんつって、無責任な、願掛けときた。


ところがどっこい、天使様、

はてさて如何なる天啓か、

か細くも低く、響かせる声で、

「悩める子らよ」、こう言った。

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