ハーレムだけど童貞貫いてたらいつの間にか聖者なってた

minachi.湊近

第1話

「ねえ、なんでご主人様は食べさせてくれないんですか?」


「ん、それはどういう意味で言ってるのかな?ご飯の話だよね、いや、てかご飯充分食べさせてあげたよね」


 俺は今、自分の部屋のベッドの上でロリ猫耳美少女に押し倒されている。

 え、なんでこんな状況になっているのかって?


 ごめん、それは俺にも分からないんだ。分かることなら今すぐにでも解決に動くはずだし。


「ご主人様も強情ですね、女奴隷を買った時点で性欲にあふれてるのは分かっているんですよ」


「女の子がそんな言葉はっきりと言うんでない」


 俺は軽く猫耳美少女にチョップをくらわせる。

 イテッ、と可愛らしい声で泣いた。そこはニャ、だろ。…じゃなくて相手は獣人だし女の子だし。


 つまりは前世で言う美少女が猫耳着けてしっぽ着けただけの人間であることは変わらないわけで。


「名前なんだったっけ?」


 猫耳美少女がジト目で見つめる。そしてそのまま涙目になって、一粒の雫が彼女の頬を…


「うっ…。ご主人様酷いです。私をことをめちゃくちゃにしておいて冗談じゃ済まされませんよ」


「ごめんごめん…って、ん?」


 今、誤解しか含んでいない発言があったような。

 俺とお前、まだ会って半日ぐらいしか経っていないんだが。半日の間に十回以上襲われそうになったけど、全部回避したぞ?


 てか俺のこと性欲強いとか言ってたけど、絶対にお前の方が性欲強いだろ。

 いや強いなんて柔い言葉じゃ形容できない。

 性欲にあふれてるよ。


 脳内メーカーの九割九分が性欲だろ。


「性欲性欲性欲性欲性欲性欲性欲性欲性欲性欲性欲性欲…はっ⁈」


「やっぱりご主人様性欲に溢れているんですね」


 猫耳美少女の瞳にハートが浮かび上がる。まずい、脳内十割が性欲に埋め尽くされている(猫耳美少女が)。


「ちょっと待ってくれ猫耳美少女よ。まずは家を買いたいから、お金を稼がないと。えーっと、だからそういう行為はその後に…ね?」


 猫耳美少女の瞳からハートが消えた。

 ちゃんといえば話は聞いてくれるんだな、安心したわ。

 でも性欲が消え去ることはないんだろうけど。


「ご主人様、お家を持っていらっしゃらないのですか?」


「ああ、うん。俺異世界転生者だからね」


「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?????」


 そんなに驚かないでもいいじゃないか。

 異世界転生者って珍しいのか。

 天使様曰く異世界転生者には常人には発現することのないスキルか、ほとんど存在しない職業を手にできると聞いたけど。


 今まで数千人、この世界に送りこんだと言ってたし。

 全然珍しいことじゃないと思ってたな。


「じゃあなんで私を買えたんですか?自分で言うのもなんですけど、奴隷しかも女奴隷って結構値が張るはずですけど」


「らしいね」


「らしいね、って他人事みたいに言ってますけど私、相当高かったはずですよ?」


 理由を聞くにまず猫人族自体が希少性が非常に高く、稀にしか姿を現さないらしい。加えて奴隷はその容姿も値付け基準に含まれているため猫耳美少女である彼女は一般市民では手を出せない代物なのだとか。


「実はな…俺、お前のことを実質無料で買ったんだよな。転生するときに天使様が一度だけどんなに高価なものでも無料で購入できるというスキルをもらったんだよ」


「チートですね。そんなスキルあったのなら国ごと買い取ればご主人様は国の領主様になれたでしょうに」


「一回考えたんだけど、国の統治なんて興味ないかなって。それで何買おうか迷ってたらいつの間にか君を買ってたんだよ」


 異世界転生と言えば色々なものがあると思う。基本は主人公最強系や成り上がり系に落ち着くのだろうが、たまに悪役令嬢転生や魔王軍の幹部に転生するなどさまざまである。


 まあ俺はその中のどれにも該当しないレアオブレア、言い換えるとモブオブモブなわけなんだけど。


「これも運命ってことですね。…と、いうことで」


「っとはいくかーーーーーーーー!」


 危ない、危うく襲われてしまうところだった。


「そういえばご主人様の職業ジョブはなんですか?」


職業ジョブ?」


「はい、異世界転生者なら知らないのも普通かもしれませんので軽く説明しますね」


 猫耳美少女曰くこの世界では人一人一人に職業ジョブと呼ばれるその人に対応した役職があるらしい。


「えっっと…、血液を手の甲にたらせばいいんだよな?」


「はい、その通りです。ちなみに私の職業ジョブは獣戦士です」


 猫耳美少女に言われた通り、血液を手の甲にたらしてみると内側から不思議な力が働くような感じがした。


「お、出た!」


 どうやら俺の職業は…


「剣士見習いだって」


 剣士だってさ。

 かっこよくね?かっこいいよね?

 

「これってどうなんだ?レア職業ジョブか?」


「いや…」


 猫耳美少女は何か人聞きが悪そうな顔だ。


「どうしたんだ?」


 もしかして強すぎて引いてるとか?


「弱すぎます」


「え?」


「弱すぎますよ、ご主人様」

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ハーレムだけど童貞貫いてたらいつの間にか聖者なってた minachi.湊近 @kaerubo3452

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