第7話 転生と因縁

 織田信長総理は中酷依存の商人が多いことを憂いていた。健全な関係であればよいが陳腐な品を低価な労働力と補助金と言う価格破壊を行い経済活動を行う腐敗される身勝手で不穏な国と捉えていた。


 信長に尋ねられた小西行長は生前・アウグスティヌスの洗礼名を持つキリシタン大名だった。備前福岡の豪商・阿部善定の手代であった源六(後に岡山下之町へ出て呉服商をしていた魚屋九郎右衛門)の養子となり、商売のために度々宇喜多直家の元を訪れていた。その際に直家に才能を見出されて抜擢されて武士となり、家臣として仕えた。織田氏の家臣・羽柴秀吉が三木城攻めを行っている際、直家から使者として秀吉の下へ使わされた。この時、武術から算術と考えていた秀吉からその才知を気に入られ、臣下となる。島津義弘が活躍した文禄・慶長の役で秀吉は加藤清正を二番手。先方に行長を据えた。生粋の出身の清正は商人上がりの行長に憎悪同様の嫌悪感を抱いていた。関ヶ原の戦いの際、東軍武将や武士も清正と同じ思いだった。天下分け目の戦いの後始末としてその責任を取らされたのは三人。西軍を率いていた石田三成、

毛利輝元を西軍の総大将として担ぎだした僧侶・安国寺 恵瓊、そしてバテレン禁止令の見せしめとして小西行長が名を連ねることになった。三人の共通点は武士から嫌われた者であった。家康は戦の責任で武将の命を奪うことはなかった。戦後も考え、遺恨を出来る限り軽減したことが長きに渡る安泰の礎を築いた。

 少なからずの遺恨を生前に持った者が一同に介した政権は常に地雷を抱えたいたのは懸念の要素とはなっていたが、そこは彼らを転生させた神仏の計らいにより、生前は生前と割り切らせることを転生の条件としていた。朝鮮出兵の経験を持つ行長は試験として中酷の現状を語り始めた。

 行長の目前には織田信長以外に因縁のある豊臣秀吉、徳川家康、加藤清正、明智光秀、石田三成が鎮座していた。


行長「一つ、人口に偽りあり。一人っ子政策は愚策。人手のいる農村地では二人目か

   らの申告をしない。一方、都市部では婚姻に掛かる経費が高く、婚姻数が激 

   減。一つ、人民元を信頼できず政府保証があると暗黙の了解で増え続けた不動

   産投資は、戸数が人口の三倍になっています。需要と供給バランスが破綻。未

   完成物件が多い。政府は建設会社に完成させ購入者に引き渡せと命じるが工事

   する金がない。既に手に入れた金は次に注ぎ込まれ資金が枯渇しています。誰

   も住まない鬼城が点在し、もともとが投資案件とされ見た目はそれなりでも、

   ライフラインが脆弱で住まいと呼べるものでなし。消火設備も禄な物でもな

   い。不動産に投資した分は溶けるでしょう。一つ、海外企業の撤退で失業者が

   溢れ、貿易に必要な外貨も危うい状態。苦し紛れで売った米国債も自国の低迷

   を露呈したもの。株を買うのも自国の物。海外投資は制限され、人民はインゴ

   ットや金装飾品に走っている。その金はメッキもある有様」

秀吉「鬼城か、よく言ったものだ」

家康「死に際に藻掻いているようだな」

忠勝「海外企業の撤退に失業、独自性の産業がない限り、海外からの投資を再び受け

   られることはない。お先真っ暗な不動産会社を思い聞いて清算しなければ臭い

   ものに蓋をするだけで解決にはならない。蓋をした中身は更に腐敗する。まさ

   に四面楚歌だ」

行長「日本の商人の中には爆買いに期待する者もいるが、その爆買いは一部の店がそ

   の場凌ぎで儲けているだけ。買い付けた者は帰国後、高値で売っている転売の

   仕入れに過ぎません。感染病の前と今では大きく変わった。利権の旨味が薄れ

   目立った富裕層も不動産・株で大損し、箪笥預金か海外の不動産を買い、マネ

   ーロンダリングに躍起になっている。彼らの動きから人民元が紙屑になるかも

   と言う不安が見え隠れしてると感じられます」

清正「とは言え、富裕層の反乱が見えぬようでは鵜呑みはできませぬ」

行長「反逆すれば財産・利権をあっさり政府に奪われる恐れがあり、軽はずみに動け

   ないのが現状でしょう。賄賂を払っても海外に財産を移し、一日も早く中酷を

   逃げ出したいのが本音だと受け取れます」

忠勝「一揆が起こしにくい事情と人民が政府転覆の方法を知らないのが問題だな」

三成「目指したい国家とも言える」

家康「まだ懲りないか」

信長「止めぇ~止めぇ~。内輪揉めをしてる場合ではない」


 この時、武将たちには信長の死後に起こった関ヶ原の戦いのきっかけから終結までの映像が流れていた。


信長「渉外大臣・黒田官兵衛を呼べ~」


 信長は中酷とのやり取りを優位に進めるため特に異国との交渉を行う渉外大臣・黒田官兵衛を呼びつけた。


信長 「官兵衛、中酷との交渉に当たって、奴らの考え方を詳細に調べよ」

官兵衛「早速、取り掛かります」

忠勝 「奴らの戦狼外交とやらを重点に分析なさるがよい」

官兵衛「有難き助言、痛み入ります」

忠勝 「相手の得意とするものに弱点はあるものですからな」

官兵衛「確かに。切り崩す方策がそこにあるかと私も同意致します」


(登場人物)

総理大臣に織田信長

副総理に豊臣秀吉

幹事長に徳川家康

政調会長に本田忠勝

財務大臣に小西行長

外務大臣に伊達政宗

国務大臣に明智光秀

奉行大臣に石田三成

資源大臣・加藤清正

渉外大臣・黒田官兵衛

経済安全保障担当大臣・お江「崇源院」

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