第5話 資源大国・からくり工房日本

 世界は半導体の優位性により今後の経済活動に大きな影響を齎す状態にあった。半導体事業は浮き沈みが宿命。それに耐える経験と対応が必要だった。半導体で優位に立っているTSMCは台湾企業であり、昨今、政策不振から経済の凍結した坂道を転げ落ちている中酷が横取りを狙って略奪を企てている。中酷は、半導体の技術はないがレアアースがあり、その取引を用いて儲けていた。資源の削り売りで濡れ手に粟を覚えた中酷は尖閣諸島に資源ありと知るといきなり九段線を引き領土だとごねる。缶酷もまた竹島の海底資源を狙って実効支配する始末。中酷・缶酷が日本を目の敵にする背景が垣間見られる。最も缶酷が狙う資源は、海底資源の国際法が2028年施行されれば缶酷は権利を失うので一旦共同開発で合意したが日本が開発を承認せずやり過ごせば問題はない。


清正「資源に頼る日本が資源調査に積極的でなかった前政権に疑問を抱いていた。実

   務までの嫌がらせ。それは内々で実行可能になればもういいよで済む。それが

   出来ないのは実用化にまだ問題があると言うこと。またその予算を組めば邪な

   奴が中酷や缶酷に告げ口して邪魔や略奪に走るので公にしにくい。しかし、瓦

   版では日本の未来が位とばかり風潮し、不安を煽り真実を伝えようとしない。

   収入が上がらないと他国と比較するが自給3000円でハンバーガー5000円で潤

   ったとでも思うのか、馬鹿にするのもいい加減にしてもらいたいものです」

信長「それと資源の話がどう繋がる」

清正「現状を知って頂くための前振りです。では本題に入ります。日本には豊かな海

   底資源があります。地金価値80兆円分の海底熱水鉱床があります。分かってい

   るだけで20か所です。例えば沖縄海域では740万トンの資源量が確認済みで

   す」

家康「だから中酷が横槍を入れてくるのか、沖縄ごと奪おうと」

清正「御意。さらに伊豆・小笠原海域白嶺鉱床では10万トン。採鉱・揚鉱パイロット

   試験に成功。選鉱・製錬技術開発も順調です」

信長「ふむ」

秀吉「なぜ急がせぬ」

清正「採掘を続けていくための経済性と環境への負荷を考慮しての事」

信長「考慮などまどろっこしい」

清正「地盤沈下や生態系を壊しては災害大国に拍車を掛けるやも知れませんから」

信長「ふむ」

清正「継続するための先行投資を国が中心となり民間企業を手厚く援助しなければな

   りません。利権に群がるハイエナを除外しながらね」

秀吉「バテレン禁止令を強化するか」

清正「是非。次に希少金属であるコバルトを多く含む海底鉱物資源であるコバルトリ

   ッチクラストがありますが採掘が難しいですが困難を苦にしないのが日本企

   業。米国が断念したレールガンを実用化させたみたいに。我ら戦国時代に二丁

   の鉄砲から性能のいい銃を大量に生産できた事例がありますからな」

義弘「朝鮮との戦いで物を言わせたのはいい例ですな」

清正「そうだ、コバルトは回収想定量11億トン、地金価値は100兆円です。拓洋第五

   海山にはコバルトが日本の年間消費量の88年分、ニッケルが12年分相当が期

   待されています」

家康「凄いではないか」

清正「更に燃える水と言われるメタンハイドレートです。これは120兆円相当で

   す。地理的に中酷や缶酷の妨害を受けにくい茨城県沖の海底に五浦巨大油・ガ

   ス田があり事業化を推進させています。これらが事業化されれば産油国のよう

   に国民への還元や防衛費の潤沢な資金を賄えます。」

秀吉「子に関する費用の全額負担も容易になり、企業への投資も行える。少子化問題

   にも歯止めを掛け、支援を拡大させ子供を授かりたくなる国にする。子育てが

   困難なれば国が肩代わりし育てる、子は国の宝であり掛け替掛け替えのない

   り。うん、名実ともにまさに黄金の国ジパングではないか」

清正「開発・産業化することが最も重要であり、投資する最優先項目です」

信長「他国の目を気にするな。私が蹴散らしてやる。予算を取り入れよ。外国人への

   無駄な補助を撤廃し、偽善者団体の予算を撤廃して、足りない分は国債発行じ

   ゃ。文句を言う瓦版は撤廃してやる」

清正「有難き幸せ。資源に脆弱な日本を覆すことが第一。水素のエネルギーは民間が

   推し進めて世界トップを走っております。水素は脱炭素問題も解決し、無尽蔵

   にありますから、エネルギー特許や製品で世界をリードできます。そこへもご

   尽力願いたい」

秀吉「明るい未来への先行投資ですな。失敗を咎めず恐れずに行いましょう」

信長「了解した。義弘の提言も直ぐに投資案件に加えよ。国が存続出来ての事よ」

義弘「攻撃は最大の防御。先制攻撃を阻む憲法九条の廃止もご検討を」

信長「先制攻撃を禁止だと。馬鹿げたことを」


 転生した武将たちの脳裏には関連動画が流れ共有出来ていた。聞きなれない言葉はすぐさま関連動画で解消されていた。

 珍しく光秀が口を挟んできた。


光秀「信長総理、戦争放棄は日本の美徳。それを無碍にはしてはなりませぬ」


 信長は腰抜けた発言に癇癪を起し、テーブルの湯飲み茶わんを光秀に投げつけた。


義弘「お鎮め下され信長様。光秀は日本の置かれた立場で物を言ったまで。光秀殿も

   ダメを前面に出せば信長様がお怒りになるまで。言い方を気を付けられよ」


 光秀は信長の単純さに疑問を抱かざるを得なかった。光秀の生前の記憶だけが完全にリセットされないのは怨念の強さが関係していた。家康は、悪夢を再現しないため補佐官の服部半蔵に光秀の監視を命じた。


(登場人物)

総理大臣に織田信長

副総理に豊臣秀吉

幹事長に徳川家康

政調会長に本田忠勝

財務大臣に小西行長

外務大臣に伊達政宗

国務大臣に明智光秀

奉行大臣に石田三成

資源大臣・加藤清正

渉外大臣・黒田官兵衛

経済安全保障担当大臣・お江「崇源院」



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