第2話 仁王立ち政府

総 理「どうした三成」

三 成「疲弊山の寺を占拠していた移民が暴動を起こし、鎮圧を願いたく馳せ参じま

    した」

総 理「光秀を呼べ~」


 信長は険しい顔で光秀に強引でも構わないから排除しろと命じた。光秀はすぐさま隊を形成し、疲弊山の寺を包囲し、目についた異国人を片っ端に有無も言わせず捕えていった。逆らう者には容赦なく、プラスチック弾が撃ち込まれた。


光 秀「総理、捕らえた者を如何致しましょう」

総 理「母国に返えしてやれ」

光 秀「奴らは正式な国を持たぬ者。よって、出国した国に送ろうかと」

政 宗「相手は受け入れるでしょうか」

総 理「受け入れなければ、小舟に乗せ放置すればよい」

政 宗「それでは国際社会からの非難が殺到するかと」

総 理「言いたいものには言わせておけ。米国も英国も仏蘭西も様子を見て同じよう

    に振舞うであろう。後先も考えず善人ぶって対応し、自国民を疲弊させてい

    るではないか。国を治める者には覚悟が必要よ。外面ばかりよくても中身が

    稚拙なら問題の解決になどならん。政治は結果だ。終わり良ければ総て良し

    だ。そもそも移民や難民は生み出した国の責任。我が国の与り知れぬこと」


 伊達政宗外務大臣は織田信長総理の指示通り、捕らえた者を出生国に送り届けた。予想通り受け入れを拒否された。政宗はその回答をクルッタ人に翻訳アプリを使って伝えた。クルッタ人は崖っぷちに追い込まれたように罵声を政宗に浴びせた。政宗は目を瞑り仁王立ちしたまま微動だにしなかった。反応のない政宗に一部のクルッタ人が命乞いするような態度を見せた。やがて強硬派と穏便派が小競り合いを始めた。その時、政宗は目を見開き険しい眼差しでクルッタ人を睨みつけ、腰に差していた鉄扇を抜き、突き上げた。


政 宗「思い知ったか!人の情けを無碍にし、身勝手な言い分の成れの果て。安息の

    地を求めたいなら心を改め尽力致せ」

迷惑者「分かった、何でも言うことを聞く、連れて帰ってくれ」

政 宗「くれだと、そのような者に改心の微塵も感じぬわ。自らの命の行き先は自ら

    決めるがよい。せめてもの情けだ。これより自由に致せ~」


 政宗は、剣先をクルッタ人に向け、次々に小舟に積み込み、三百人程を処理した。


乗組員「政宗様、荷下ろし完了致しました」

政 宗「うん」


 政宗は「置き土産じゃ、受け取れ~」と空砲を一発放つと高笑いしその場を後にした。小舟に乗った者は港を目指す者や大海に向かって港を離れる者など様々だった。小舟に乗せられた者が相手国に向かい入れられたかは定かではなく政宗は興味もなかった。この行動は国際問題になり、日本への批判が続出した。織田総理はその批判に


総 理「罪を犯した者を処罰したに過ぎない。その者を送り出した国の責任であり、

    我が国が責任を負う必要はない。寧ろ、愚かな者を送り付けた国の責任。悪

    を根絶するには悪と戦うだけでなく悪を作り出さぬこと。そこから目を背け

    て安泰など夢の先の先。事実から目を背けず真摯に向き合うことこそ、正義

    である」


 織田信長総理は媚びない日本を蘇らせるため自由党が施行した悪法を次々に強権廃止し、他国に媚びる議員・その関連企業に課税や取引制限を強いやった。反発する者は容赦なく捕らえ、社会的に葬っていった。それを光秀は独裁と捉え、危険視し始めていた。

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