姫の旅行記
姫宮フィーネ
第1話 姫と蕎麦
最初は昔の同僚の引越し祝いに行くのが目的でした。
親からはそのまま移動して蟹を食べついでに送ってほしいと提案されましたが、強行軍なので見送りました。
近くにリンドウさんが住んでいる、と思い出しました。なんとかして会えないかな、と調整してもらって、2日目に会うことになりました。
1日目は、多分、興味ないですよね。
2日目、駅の前で待ち合わせだったのですが、互いに顔を知らない状態で、電話かけてどこにいるのか話しながら、彼を見つけて……ええ、すぐにわかりました。
どうしてって、それは、見たらわかると思いますよ。
消去法で考えたらすぐに……ロータリーで他にも同じことをしていた人がいるはず? ふふ、消去法で考える、と言ったじゃないですか。
合流した後は彼の運転でお蕎麦屋さんの多いエリアへ。
本当にお蕎麦屋さんが多くて驚きました。
小腹を減らすためにちょっと、神社目指して砂利道歩いたりしてました。
上から見る景色はよかったですが、ちょっとハードでしたね。
二人そろってちょっと息があがってて、私は足が少し震えてました、少しだけですよ?
最初に行こうと言っていたお蕎麦屋さんには入れなかったんです。
近くにはたくさんお蕎麦屋さんがあったんですけど、雨が降っていたので彼の車に戻ることにして。
スマートフォンでお店の評価見たり混雑状況見ながら、どれがいいとかなんだとか話してた時にふと、会話が途切れたんです。
ボンネットを叩く雨の音、ウィンドウを流れる雨を切るワイパーの音、とても穏やかで空気が流れていて、もっとこの時間が続いたら、と少し思っちゃいました。
蕎麦屋入った後、メニューを読んで細かいこと言っていたのも、そばがきそもそも知らなかったのも、初そばがきが巨大で面食らったのも本当です。
お店によってサイズやそば粉の量が違うと教えてもらって博識だと感心した覚えがあります。
それにしてもよくあの量を二人で食べ切ったもので。
そのあと観光名所のお寺に連れて行ってもらって、他愛もない雑談しながら散策してましたよ。
なぜか、乳牛の親子像があって、面白がって見に行ったり? 何か間違いのようなそうでもないような?
歩き回った後は、喫茶店を探して休憩。
ただ、純粋に食べたいものを頼んだら、彼と被っただけで……。
例の台詞? 言ったかもしれませんね。
ほら、言うじゃないですか、食べ物の好みが一致するのも大事だって。
お土産買って、ご飯食べて、もう一回喫茶店入って、ぎりぎりまで話してたと思います。
一日があっという間で、とても充実していました。
改札を通るときももう一泊しようかな、と思いながら、振り返って手を振ってました。
また、会いにいけばいいか、と思いなおしましたけど。
そのあと、温泉宿に泊まることになるとは思ってもいませんでしたよ、ええ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます