大きくなり過ぎた
嘉河 怜
プロローグ
「おはようございま〜す」
夜22時にこの挨拶をするのはいつになっても慣れない。バイト先の先輩の、
「小只君、僕もう上がるから後よろしく」
「っす。お疲れ様です。」そう言って店長は帰って行った。
このコンビニは元々客入りが少ない。特に、夜なんて客はほぼやってこない。そこが気に入っていたんだけどな。
客入りは悪いが、なにぶんこの周辺にはコンビニが少ないためトラックの運転手たちはようやく見つけたこのコンビニに立ち寄って行く。
ほとんど、そのために営業しているような店だ。
今日も相変わらず、暇を極めながらレジに突っ立っている。小只君は在庫チェックをしにバックヤードへ行った。
深夜0時を過ぎた頃。自動ドアが開き、ようやく一人目のお客さんが入ってきた。「いらっしゃいませ〜」とやる気のない声で小只君がレジに走ってきた。
トラックの運転手だろう、「あぁ、さみぃ」と言いながらチョコレートとホットコーヒーを買って行った。
うんうん。美味いよな、チョコとコーヒーの組み合わせは。
「小只君。今日も暇だねぇ」
「
俺の隣に立っている彼はこっちに目を向けることはなく、ぼーっと正面を向いたまま誰もいない店内を見ている。
相変わらず何を考えているのか、さっぱりわからない。年齢は俺の二つ下で26歳。初見だと、近寄りがたい雰囲気で何度も色を抜いたような金髪に端正な顔立ち。あと、めっちゃピアス開いてる。所謂、イケメンと呼ばれる類だ。
昼間は他のことをしているからといって基本的に夜勤シフトに入っているらしい。俺がいうのもなんだが、そこそこいい歳してフリーターだ。
「後少し在庫チェックしてくるんで、まぁ...ここよろしく?」と言って、小只君はバックヤードに戻っていた。
はは、相変わらず彼は面白い。
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