TS美少女大鎌使いになった俺のVRMMO〜大鎌は不遇武器のようです~
アンリミテッド
第1話 1ヶ月遅れの参戦
俺の目の前にはヘッドギアとゲームソフトがあった。ゲームソフトは『InfinityOnline(インフィニティオンライン)』。発売当日から大人気なフルダイブ式VRMMOである。
本当は発売当日である11月10日に買いたかった。事前情報もPVも見てやりたいと思っていた。しかし当時の俺にはヘッドギアが無かった。インフィニティオンラインをするにはどうしても必要不可欠だった。
俺は思考を巡らせた。どうやったらヘッドギアとインフィニティオンラインを同時に手にすることが出来るか。
そして思い付いたのがクリスマスプレゼントとして買って貰うことだった。
お父さんに頼み込むと2つ返事で了承してくれた。だから目の前にヘッドギアとソフトがあるのだ。
今の日付は12月25日。クリスマスである。
「1ヶ月か……やっと出来るんだな」
今大人気なゲームを出来ることにわくわくしていた。
「でもまずは、説明書を読まないとな」
ゲームを楽しくプレイする為である。めんどくさい気持ちもあるが、俺はヘッドギアの説明書を読む。専門用語に四苦八苦しながらも読み終えることが出来た。
次にゲームの説明書を読んだ。主に世界観やプレイヤーの能力についてが書かれていた。ちなみに今日まで攻略情報を一切見ていない。だっていきなり攻略情報を見るのは面白くないし、書かれている情報が本当なのかも分からないからだ。プレイした後に見る予定である。
「大体分かったし、行くか」
いざ、インフィニティオンラインへ! 行く前に準備をします。
まずお手洗いに行く。次に水分補給を行う。最後に横になれる場所を確保する。俺の部屋だと布団だな。フルダイブするから、横になる場所は必要だった。
俺はヘッドギアにソフトを入れて頭に装着。布団の上で横になった。
「よし、行くぜ」
俺はヘッドギアの電源を入れる。起動すると『InfinityOnline』のタイトルが出てくる。胸を躍らせながらゲームの世界へと入っていった。
黒の空間に青色の粒子が広がっていた。粒子は水や風のように動いたり、螺旋状な所もあった。
ということで、俺は現在インフィニティオンラインを起動したらこのような空間にいました。例えるならネットの海みたいな感じだ。
『ようこそ、インフィニティオンラインへ』
声が聞こえた。しかし人影らしきものは無い。だとしたら空間自身が声を出したんだろうな。何言っているのか分からないけど、俺自身曖昧だ。浮遊している感覚もある。
『これからキャラクタークリエイトを始めます』
待ってました。インフィニティオンラインで最初にやることであり、大人気の理由の1つであるキャラクタークリエイト。
インフィニティオンラインのキャラクタークリエイトは自由度が高いと有名である。ゲームに付属されたマニュアルみたいな本にも書かれていた。
『まずは種族を決めて下さい』
種族は人間は勿論のこと、エルフやドワーフなどがある。更にスケルトン、オーガ、オークなどの魔物もありだ。ただ魔物を選んでしまった場合は人がいる町や国には入れないらしい。
「人間でお願いします」
『
どっちも同じでしょうというツッコミはしない。俺は人間で行くつもりだ。種族に拘りはなく、この手の性癖は持ち合わせてはいない。
『次は性別です。3つの中から選んで下さい』
俺の目の前に3つの円が出てきた。それぞれ男性、女性、ランダムである。ランダムを選んでしまった場合男性か女性か分からないままゲームをスタートすることになる。
勿論ここは男性を選ぶつもりだ。俺は男性の円をタップしようと――
『ランダムにしないんですか?』
その一言で俺は男性へタップするのを中断する。別に心変わりをした訳ではない。ただ、何故そのようなことを言うのか不思議だった。
「ランダムにすると何か良いことでもあるのか? 例えば、ステータスの上昇」
俺は空間に質問をする。正確には空間の声の主であるAIだな。
『い、いえ……そのようなものはありません』
分かってはいたが、やはりないか。じゃあなんでランダムを進めてきたんだ? 隠し機能とかの線は消えた。
俺は男性にタップしようとすると――
『ラ、ランダムに、しませんか?』
ランダムに誘導しようとしてくる。これもしかして、使わせたいのか?
性別によるランダム。使い手の立場として言わせてもらうと全く必要のないシステムだ。普通に従来の性別でやろうとしているプレイヤーはそのまま選べばいい。逆も同じだ。性別を変えればいいだけなのだから。
だからランダムは本当に使う人が少ないか、いない。変わり者でない限り誰も使わない。
使って、ほしいんだろうな。
俺は運が良いことを自負している。ガチャで欲しいものを望めば大抵手に入ってきた。
(女性にならなければ良いんだ)
俺は男性ではなく、ランダムにタップした。折角あるシステムだから、使ってみるか。
『ラ、ランダム! ありがとうございます!』
分かりやすく感謝されてしまった。軽い気持ちで押したんだけどな。
それにランダムにもメリットはある。まず身バレを恐れる必要がないこと。現実のままやると身バレの危険性がある。もう1つは容姿の時間を削り、プレイする時間が少しでも増えることだった。
『ランダムと言いましても、貴方の身体を参考にさせて頂きます。また性別がランダムなので容姿もランダムになります』
「そうですよね」
俺の身体を参考に出来るのは身体スキャンだろうな。もしランダム以外を選んだら身体スキャンした自身をカスタムしていく。身バレの防止や好きな姿にする為にだ。
ランダムを選んだ俺には関係ないけどな。
『最後に武器と職業を宣言して下さい』
遂にここまで来た。ここが俺の本命だった。事前情報やPVを見て使いたい武器があった。
「武器は
大鎌。文字通り大きな鎌だ。本当にかっこよかった。絶対に使いたいと思ったのだ。やっと手に届く。
『分かりました。職業のおすすめで、見習い大鎌使いがありますが』
「職業もそれでお願いします」
職業に関しては何でも良いと思う。変えることが出来る上に、自由度も高い。合わなければ即座に変えることだってありだと考えた。
『それでは、インフィニティオンラインの世界へとご招待します』
始まるんだな。俺のインフィニティオンラインが。
目の前が真っ白になりながらも、意識として移動する。
『ランダムを使ってくれて、ありがとうございます』
2度目の感謝までされるとは思わなくて「気にするな」と心の中で言ったのだった。
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