このいとなみの真実を

第1話

僕の妻が、髪を洗わなくなって久しい。

もう一年は経っただろう。

気がつくと、それは、

一週間に1回あるかないかにまで及んでいたそうだ。

いつも、頭を掻いていて、もうじもじと、何か言いたそうで、

どこかやるせないような、イライラのような、

なんとも言えない表情で、ベッドに横たわっていた。

お風呂にも入らなくなっていた。

聞くと、カラダ中ボディシートで細部まで清潔に保っている。

病院の先生からはヘアサロンを勧められている。何度も。

ねぇ、聞いて。

ワタシの声を。

ねぇ、聞いて。

ココロの叫びを。

ねぇ、聞いて。

ぶつけようのない思い。

なぜなのか。わからない。

どうして。こんなにも清潔、潔癖だったワタシが、

変わったしまったのか。

でも、本当は、なんとなく、わかってもいた。

決して口には出さないけれど、誰にも絶対言わないけれど、

ワタシは、やっぱり、知っていた。

その、本当のワケを。

ただ、カレには言わないままで。