せきららら

あんちゅー

ただの自分語り

頭が良くなかった。

顔が良くなかった。

背が低かった。

面白くなかった。

得意なことはひとつもなかった。

人並みに以上に欲しがりな卑しい人間なのに、持っていないものも人並み以上だった。


学生時代の生活を思い返してみると、1つだって将来を見据えた行動は無かった。

自分の人生についてよく考えていなかったし、自分が大人になることすら考えられなかった。

つまり、今の自分があるのはそんな風に大人になった自分を想像出来なかった過去の自分のせいだ。

僕はそう思いながら生きている。

他にも、思い通りにならないのは自分の努力不足のせいだと思っているし、日々いかなることがあったとしても正しいのは自分以外の頭のいい人間だと思っている。

他人を批判するべきじゃないと思っているし、他人のことを妬ましいとも思ってはいけない。助けて貰っても返せるものがないから避けなければいけないし、大きな声でお礼を言わなければいけない。それでも例えば目の前で転んだ人には手を差し伸べなきゃいけないし、他人には優しくしないといけない。見返りを求めてはいけない。

多くを望んではいけないし、憧れは憧れのままで留めておくべきで、例えば僕からの好きという気持ちはきっと相手の迷惑になるから。

そして、夢が叶わないのは自分の力不足のせいだ。

僕は30歳で死ぬつもりだった。


家庭環境は良い方だったと思う。

両親がいて、兄弟がいて、祖父母もいて、家があって、食べるものがあって。

だからそれ以上に欲しがるのは強欲だ。

僕はだから分かっている。

みんなが幸せになろうとしている事を。

自分より恵まれない人達がいるのが分かるし、彼らの努力が大きな成果を生むのもわかる。

片や僕より幸せな家庭で生まれた人は、その幸せが後押しして、それ以上の幸せを掴むのも分かる。

元々優れた人が順当に当然のように幸せを手にするのも分かる。

反対に苦しい家庭、幸せな家庭から生まれて辛い日々を生きる人達は何があっても救われなければいけないと思うし、だから他人を傷付ける前に、自分から命を絶つ前に行動して欲しいと思う。

だって彼等は優先的に幸せになるべきだから。

僕と、それから他人を悪意を持って不幸にした人間以外には、誰もがこの世界で幸せになる権利があるから。

優しい気持ちを持っている人達は何より幸せになる権利があるから。


僕が手に入れられないのは仕方ない。

僕は努力が出来ないから。

僕が空虚であるのはいい事だ。

僕以外を巻き込む必要が無いから。

僕はどうしようもないやつだ。

僕は幸せになる価値なんてない。


人と僕自身を比べた時に、何より劣っていることがわかるからこそ僕は人と関われない。

傷付くことが嫌だから、比較されるのが嫌だから、現実を目の当たりにすることが嫌だから。

だけど本当は、何より彼らが怖いから。

僕は他人が怖くて、作られたものが好き。息をしないものが好きで、声が出ないものが好きで、幸せそうな顔の人と不幸そうな顔の人が怖い。

だからできるだけ関わらないようにしてる。

たまには寂しい気持ちにもなるけど

下らない僕が多くを望んだらいけないから。

物足りないくらいがちょうどいい。

誰かを不幸にするくらいならよっぽどいい。


こんな自分語りだって下らないし、世の中にはちっとも必要ない。

本当は誰の目にだって触れさせたくないし、触れた先から下らないと言われるだろう。

でも反対に誰かに聞いて欲しい、届いて欲しいとも思うから。

矛盾を心が支配して訳も分からず頭の中で渦が巻く。熱が上がって思考が絡んで消えたと思えば全てが消える。

自分の人生が他人のもののようにも思え、明日には別の人生を歩んでいるような気すらしてしまう。


僕は30歳で死ぬつもりだったんだ。

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せきららら あんちゅー @hisack

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