第2話 命の創造

 心の準備はしていた。それでも、どうしても受け入れる事はできなかった。母は僕を産んでから15年生きた。15年間の愛情を受けた。亡くなった母とも別れ今は部屋で1人憔悴している。母との思い出だけが蘇る。

 

 「過去には精霊を見る事ができた人もいたそうですよ。その人は精霊と心を通わせ、困っている精霊がいたらその精霊を助けたそうです。後にその人は聖女と呼ばれその人のいた国は精霊の加護を受け栄えたとされています。もしかしたらあなただけにしか見えていないのも何か特別な意味があるのかもしれません。」


 ふと、母のそんな言葉が思い出される。僕にしか見えていないもの。母だけ周りの人より光が小さくて、日に日に小さくなっていった。その光は、「命」だったのだろう。


 母様、僕に命が見えることに意味はあるのでしょうか。最期に見た、母の命の灯火は今まで見たどんな光よりも美しく、力強かった。もし、叶うのであれば、もう一度母に会って話したい。


 魔法とは万能であって万能ではない力。なんでもできる可能性を秘めていると言われているが、現在使用されているものは定型化されたものだけだ。それでも、もし僕が命を見える事に意味があったのなら。


 魔法を使うためには体内にある魔力を起こしたい現象をイメージしながら体外に出す事で起こるとされている。僕は体内の魔力を練りながら、母の最期に見た、美しく、どんな闇でも照らしてくれそうで、僕の全てを包んでくれるようなあの光を想像する。そして、魔力を放出する…うっ、魔力と同時に何か別のものが僕の体から放出されるような感覚が…なんで、意識が…

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