第9話

村を襲撃してから3日後、民兵組織は略奪した物資を抱えて自分達の拠点に帰って来た。

出撃した時に800人いた兵士達は500人以下に減っていたが、彼らは手ごわい傭兵達の部隊を全滅させて士気は高く、意気揚々と凱旋してきた。

帰還した民兵達は、傭兵団との戦いを大げさに言いふらし、その戦いに勝利した自分達の事を誇らしげに自慢した。

我々は悪魔の一団と戦い正義の勝利を収めたと民兵指揮官は演説した。

悪魔の大本である軍曹を殺害したンガリの事はことさらに誇張されて語られた。

殺害した軍曹の黒いベレー帽をかぶったンガリは民兵達にも村人たちにも一目置かれる存在となった。

夜になると戦勝の祝宴が行われ、略奪してきた物資が大量にふるまわれた。

広場中央に巨大なたき火が焚かれ、たき火を取り巻いて民兵達は大いに飲み、歌い、踊り狂った。

ンガリは大人の民兵達の間に座らされ、豪勢な食事や酒を次から次へとふるまわれた。

麻薬入りの軟膏をこめかみの傷に塗りつけられ、酒を飲まされたンガリは更に高揚し、たき火を囲んで踊る一団に交じって奇声を上げて呼び跳ねながら踊った。

民兵や村人が次々とンガリに触り、祝福の声を上げた。

ンガリは奇声を上げて飛び跳ねながら思った。


戦争は素晴らしいと、


戦いは素晴らしいと、


殺す事は気持ちいいと、


奪う事は素敵だと、


踊りながら思った。



そして、


奪われる者は弱い奴だと


殺される者は運が悪い奴だと


逃げる者や隠れる者は卑怯な奴だと


泣く奴は弱く、運が無く、卑怯な奴だと、


酒を煽りながら思った。



そして、


俺は子供では無いと、


俺は戦士だと、


俺は大人にも負けない戦士だと、


叫んだ。



周りの人々がンガリを褒め称えて叫んだ。

お前は立派な戦士だと叫んだ。

そうだ、俺は立派な戦士だとンガリは叫んだ。

俺は殺して奪う、強い戦士だとンガリは叫んだ。

ンガリの心の中にはもはや空腹に悩まされながら眠りについた村での事は忘れ去っていた。

貧しいながらも家族で肩を寄せ合って暮らした村での事は遠い遠い過去の事になった。

村では夜明けまで勝利の祝宴が続いた。





駐屯地に帰った少佐は囮部隊隊員の葬儀を済ませ、報告書を作成し、上級司令部に提出すると、執務室に閉じこもった。

少佐は3日の間、ほとんど部屋に閉じこもり、不眠不休であらゆる情報を収集し分析し作戦を立てた。

少佐は自分が立案した作戦原案を配下の将校に渡し細部の手直しや具体的な実施方法を確立させることを命じると自室に戻りベッドに倒れ込んで眠りについた。

丸一日ぐっすり眠った少佐が起きた頃には、枕もとに細部まで手直しされた作戦計画書が置かれていた。

少佐は丹念に作戦計画書を読み、満足げに頷くと作戦計画書の巻末にサインをした。

そして作戦を実行する為に必要な物資の供給を上級司令部に請求し、速やかに了承された。

少佐は新しい階級章を軍服に縫い付け、傭兵団歩兵中佐に進級した。

中佐は配下の将校たちに作戦の発動を命じた。



民兵組織は消耗した少年兵の補充を活発に行った。

村々を襲い、物資を奪い、村民を殺し、犯し、子供たちを連れ去った。

ンガリは、ンガリを拉致した時の最年長の少年兵の小部隊の副隊長に収まった。

囮部隊との戦闘で20人いた兵士の内で生き残った者は5人だけになったンガリの小部隊は拉致した少年少女達を洗脳し鍛え、定数の20人までに回復した。

ンガリ達の小部隊は村の襲撃、パトロールなどに参加し、経験を積んでいった。


傭兵団では12人から24人で編成された威力偵察隊を次々と繰り出した。

彼らはクレイモア地雷を携行し、民兵のパトロール隊などを待ち伏せ攻撃をした。

威力偵察隊は大規模な民兵部隊と接触した時は注意深く先回りをしてその通り道にクレイモア地雷をセットし、民兵達を吹き飛ばした後、戦いを避けて一目散に離脱した。

クレイモア地雷の威力に民兵達は恐怖した。

また、遭遇した民兵が小規模の時は積極的に攻撃を仕掛けた。

小規模な部隊を補足した場合には入念に追跡し、付近に別の民兵部隊が無い事を確認し待ち伏せ攻撃を行った。

彼らは可能な限り降伏を呼びかけ、降伏に応じた民兵をなぶり殺しにした。

そして、一人だけ命を助け、耳と鼻を削ぎ、片方のまぶたを切り取った。

威力偵察隊の兵士は命を助けた民兵に、ブラカラナト(blanc renard)は怒っていると言った。

ブラカラナトは激怒していると、お前らを民兵を皆殺しにするまで戦いをやめないと哀れな民兵に伝えて、嬲り殺しになった仲間の姿を十分に見せた後に解放した。

民兵組織の間でブラカラナトの名前が轟き渡り、憎悪と恐怖の代名詞となった。

ブラカラナトの首に懸賞金がかけられ、民兵組織はその居場所を探りまわった。

ブラカラナトとはフランス語で白い狐、囮部隊を全滅させられた傭兵団中佐の綽名で彼の顎髭が真っ白な事からつけられたものであった。

しかし、その綽名は同時にずるがしこく悪魔の様に戦場を立ちまわった実績を表わすものでもあった。

威力偵察隊は常に3~4部隊が出動し、民兵組織の支配下を荒らしまわった。

運の無い隊は民兵組織に捕捉され、自分達がしたような方法で民兵達に嬲り殺しにされた。

しかし、囮部隊の悲惨な最期を知っている傭兵達は次々と威力偵察任務に志願した。

民兵組織と傭兵団の戦いは苛烈になり、深く深く憎悪しあった。


そんな折、傭兵団中佐が体調を崩した。

配下の将校たちの報告を聞いていた時にいきなり腹を押さえて倒れた。

悪性の病原菌が腸内で増殖したのだ。

中佐と食事を共にしていた護衛兵士達も次々と中佐と同じ病状を発症した。

現地を離れる事が出来ない中佐達は囮部隊が全滅した村に程近い、と言っても歩けば2日位かかる所にある、病院と学校の複合施設に入院した。

複合施設では中佐が入院する前後に大量の死者が棺桶に入れられて運び込まれた。

海外の労働者達の間で疫病が発生したとの噂が流れた。

病院の隣の敷地に墓地が作られ、ウィルスが外に漏れないように高さ3メートルほどの板作りの壁で囲まれ、出入りが厳重に制限され、派遣されてきた傭兵団兵士によって入口を厳重に警備された。

中佐と護衛兵士達が入院治療している間にも続々と死者が運ばれてきた。

中佐の安全を危惧した配下の将校が50人ほどの傭兵を複合施設に派遣し、施設の周りに応急の陣地を設けた。


幅広く難民を受け入れている施設の中には民兵組織によってスパイ教育を受けたオチュア達が、オチュアに英語を教えた中年の女と共に入り込んでいた。

彼女達は施設内の手伝いをしながら色々と情報収集をしていた。

オチュアは暇を見つけては施設内にある貧弱な図書室に通い、本をむさぼり読んだ。

ある日、図書室にパジャマ姿の中佐がやつれた姿で現れて、よろよろと歩きながら本棚に近づいて本を物色した。

本を読んでいたオチュアの隣に腰を掛けた中佐はしんどそうに本をぺらぺらと読むと深呼吸して椅子の背もたれにもたれた。

オチュアは本を読む振りをしながら中佐を観察した。

大柄な東洋人であごに白いひげを生やしている40代くらいの男。

民兵組織が必死になって探しているブラカラナトの容貌に似ているとオチュアは思った。

図書室にやはりパジャマ姿の仁王の様な顔立ちの大柄な黒人護衛兵士が現れた。

彼は椅子にもたれている中佐を見つけると慌てて近寄り、中佐、まだ体調が芳しくないので病室から出てはいけませんと言った。

中佐は黒人兵士の肩にもたれて図書室を出て行った。

オチュアは黒人兵士との会話で大柄な東洋人がブラカラナトだと確信した。


その同じ頃、大型トレーラーが3台、巨大なコンテナを積んで街道を走って来ると疫病で大量に死亡した死者の墓場に入って行った。

入口を警備している兵士や墓場に出入りしている職員達が「金」だとか「ダイアモンド」「オパール」などと囁き交わしているのをオチュアに英語を教えていた民兵組織の中年女が聞いた。

中年の女は忙しそうに掃除をしながら職員にどういう事なのか聞いた。

職員は、あの巨大な墓場なら誰も気味悪がって近づかないからと言って政府軍が大量の金や宝石を隠しているとの噂だと言った。


その夜、オチュアと中年の女と数人の民兵組織のスパイの子供たちが複合施設から姿を消した。

オチュアと中年の女他数人はサバンナを5日間かけて歩き、民兵組織の拠点を守る哨戒線に達した。

彼女達は哨戒線でしばらく足止めされた後、迎えに来たジープに乗せられて拠点に帰って行った。

その様子を、複合施設からずっと彼女たちを追跡してきた傭兵団長距離斥候班の4人が観察していた。

彼らは用心深く身を隠しながら後退し哨戒線から離れると 複合施設内の仮司令部に報告を入れると丁寧に隠蔽された監視哨を築き上げて、そこに腰を据えた。

複合施設の病院で静養している中佐の元に情報将校が現れて耳打ちをした。

中佐は民兵組織が餌に引っ掛かった事を知り、静かに頷いた。

中佐の同室を占めていた護衛兵士達が静かに微笑んだ。

彼らはベッドに下に隠していた突撃銃を撫でながら静かに囮部隊の復讐の機会を待った。



民兵組織ではオチュア達がもたらした情報に歓喜した。

憎んでも憎んでも余りあるブラカラナトの居場所が判明したのだ。

しかも、ブラカラナトが滞在している施設には政府軍が隠している金や宝石の類もあるというおまけつきだ。

彼らは傭兵団私服チームの活動によって戦いに一番必要な、資金の枯渇に悩んでいた。

傭兵団私服チームは民兵組織と取引がある中国や日本、ヨーロッパ、アメリカなどのバイヤーを拉致し、脅し、場合によっては殺害していた。

民兵組織を潤してくれるバイヤーが続々と手を引き、資源は押さえているが武器購入などに使う現金や砂金、宝石、塩などに困っていたのだ。

中佐が滞在している施設はある程度の防御は施されているが、恐るべきクレイモア地雷の設置場所や重機関銃座の配置場所、守備兵の人数、施設の建物の配置など細かい所までの情報を手に入れた民平組織は入念に配下の部隊の攻撃箇所の割り振りなどを打ち合わせ、最大限の兵士をかき集めて出撃準備をした。


オチュア達が拠点に帰りついて2日後。

民兵組織は手持ちの最大限の兵力1500人を率いて拠点を出発した。

哨戒線から離れた場所の監視哨に潜んでいた4人の長距離斥候班は民平組織の大群が拠点を出発し複合施設に向かっている事を仮司令部に報告すると、民兵の大群につかず離れずの距離を置いて密かに追跡を始めた。

更に彼らはすでに出撃している威力偵察隊を呼び集めた。

民兵達を追跡する傭兵団の偵察隊は徐々に合流してゆき、その人数は増えていった。

50名ほどに増えた傭兵団の一団は巧妙に距離を取り、身を隠しながら民兵の追跡を続けた。



4日後、民兵の大群は病院と学校の複合施設付近に姿を現し、オチュア達がもたらせた情報の元にそれぞれの攻撃部署に展開した。

ンガリの属する小部隊は病院正面の攻撃を担当する部隊に組み込まれていた。

複合施設内は突如現れた民兵の大群に職員や民間人がパニック状態に陥った。

情報将校が中佐の病室に駆け込み、民兵の出現を報告した。

中佐は情報将校に守備兵達を使って職員、民間人を病院に収容しパニックを収めるように命じると情報将校は敬礼をして命令を復唱すると部屋を出て行った。

中佐はむっくりと起き上がると、テープで腕に止めているだけの見せかけの点滴チューブをむしり取り、慌ただしく戦闘服に着替えた。

同室内の護衛兵士達もそれぞれ戦闘の準備に取りかかった。

中佐達はずっと病気の振りををしていてなまった体を動かし、それぞれしばらくストレッチをした。

中佐は護衛兵士が差し出した愛用のショットガンを受け取ると、さて、一汗流しに行こう!と言った。

護衛兵士達がどっと笑い足早に廊下に出た中佐の後に続いた。


その頃大量の死者が運び込まれた事になっていた偽りの墓場では棺桶の中に入って運び込まれ、仮設テントで息をひそめ、話す事も温かい食事も摂る事が許されなかった傭兵団兵士達がコンテナに隠されたそれぞれの装備を受け取ると、身をかがめながら続々と墓場を出て行き、あらかじめそれぞれ割り振られた場所に行き、身を隠した。

その数450人、戦闘歩兵第2大隊の内、威力偵察に出撃している兵士、ほぼもぬけのからになった駐屯地の守備兵を除いた中佐手持ちの全兵力だった。


中佐は病院西側の土嚢を厚く積んだ胸壁にやって来た。

中佐の胸の高さまで積み上げられた土嚢の壁の陰にはおびただしい数の兵士達が、すでに配置についている10人ほどの守備兵の足元の地面に伏せて息を潜めていた。

中佐は双眼鏡を覗いて押し寄せてくる民兵の布陣を見て笑みを浮かべた。

中佐は病院の北と南に配置された重機関銃陣地とその前面に設置している「事になっている」クレイモア地雷の破壊範囲を避け中央を密集してやって来る民兵の大群を見ながら、胸壁から顔を出して銃を構えている守備兵に、土嚢の壁に密かに直接設置してあったクレイモア地雷を隠している厚い板をどかすように命じた。

守備兵達は厚い板についた紐を引っ張り、クレイモア地雷の前面を開けた。

中佐は迫り来る民兵の大群を前にして、ことさらゆっくりと胸壁を行きつ戻りつしながら歩いた。


地面に伏せている兵士達の視線が自分を追って動いている事を確認した中佐は、時折目があった兵士に微笑みかけた。

民兵の大群が銃を構えて押し寄せて来た。

民兵達には胸壁にぽつりぽつりと配置されている守備兵しか見えず、その足元に隠れて待ち構えている傭兵団主力に全く気が付かなかった。

彼らは意気揚々とやって来た。

まだまだ突撃銃の有効射程には程遠かった。


中佐は武者ぶるいで全身がガタガタと震えた。

いつも戦いが始まる前に激しい武者ぶるいが起きるのだ。

中佐は足元に伏せている兵士達にそれぞれが信じる神に祈れと命じた。

兵士達はそれぞれ信仰する神への祈りを唱え始めた。

信じる神を持たない兵士達はそれぞれに愛する恋人や妻、子供や親たちの名前を唱え続けた。

中佐は子供の頃、母親に連れて行かれたカトリック教会で覚えさせられた詩篇の一つを唱え始めた。

教会から足が遠のいて久しいが、いくつか覚えていた詩篇の中から一番気に入っていた詩篇を、ガチガチと歯を鳴らしながら、唱え始めた。



いと高き方の隠れ場に住む者は、全能者の陰に宿る。


私は主に申し上げよう。「わが避け所、わが砦、私の信頼するわが神。」と。


主は狩人の罠から、恐ろしい疫病から、あなたを救い出されるからである。


主は、ご自分の羽で、あなたをおおわれる。あなたは、その翼の下に身を避ける。主の真実は、大盾であり、砦である。


あなたは夜の恐怖も恐れず、昼に飛び来る矢も恐れない。




民兵の大群はどんどん近づいて来た。

民兵達が上げる憎悪の雄叫びが遠く聞こえて来た。

フィックス、バイヨネット!(銃剣付け!)

中佐が叫び、自分が持つショットガンに銃剣を装着すると地面に伏せた兵士達も一斉に突撃銃に銃剣を装着した。





また、暗やみに歩き回る疫病も、真昼に荒らす滅びをも。


千人が、あなたの傍らに、万人が、あなたの右手に倒れても、それはあなたには、近づかない。


あなたはただ、それを目にし、悪者への報いを見るだけである。


それはあなたが私の避け所である主を、いと高き方を、あなたの住まいとしたからである。




土嚢から顔を出している守備兵が散発的に射撃を始めた。

民兵側からも銃弾が飛んできた。

民兵の大群が立てる足音が地響きと共に聞こえて来た。

中佐はまっすぐ体を起こしたままショットガンを持ち、胸壁を行きつ戻りつ歩いた。

ロックンロール!ユア、ガン!(装填せよ!)

中佐がショットガンのスライドを引き弾丸を薬室に入れた。

地面に伏せた兵士達も同時にスライドを引き突撃銃を射撃可能な状態にした。





災いは、あなたに降りかからず、疫病も、あなたの天幕に近づかない。


まことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる。


彼らは、その手で、あなたをささえ、あなたの足が石に打ち当たることのないようにする。


あなたは、獅子とコブラとを踏みつけ、若獅子と蛇とを踏みにじる。





民兵達が200メートルほどに近づいた。

歩きまわる中佐を追って着弾の土ぼこりが立った。




彼がわたしを愛しているから、わたしは彼を助け出そう。彼がわたしの名を知っているから、わたしは彼を高く上げよう。


彼が、わたしを呼び求めれば、わたしは、彼に答えよう。わたしは苦しみの時に彼とともにいて、彼を救い彼に誉れを与えよう。


わたしは、彼を長い命で満ち足らせ、わたしの救いを彼に見せよう。





民兵達が胸壁まで100メートルを切った。

クレイモア地雷の発火クリップを握った守備兵が引きつった顔を中佐に向けた。

中佐はにやりと笑みを浮かべ、まだだ、と顔を横に振った。

民兵達が足を速め残り50メートルに差し掛かろうとしていた。

中佐が両耳を押えて、エクスプロージョン!(爆破!)と叫んだ。

地面に伏せた兵士達も一斉に耳を押さえた。

守備兵がクレイモア地雷の発火クリップを立て続けに握りしめた。

胸壁前面にもうもうと土ぼこりがわき起こり物凄い振動と大音響を発して、胸壁前面に隠された数十基のクレイモア地雷が火を吐いた。

民兵達は全く予期しない方向からのクレイモア地雷の一斉爆発を受けてその前列が文字通り粉々に吹き飛ばされ、その体の破片は地雷の鉄球と共に高速で飛んで行き二列三列目以降のの民兵の体に食い込み切り裂き吹き飛ばした。



中佐がショットガンを高く掲げ、勢いが止まった民兵に向けて振り下ろしながら、チャージ!(突撃!)と叫んだ。

地面に伏せていた兵士達が怒号を上げて一斉に立ち上がり胸壁を乗り越えると銃剣の林を煌めかせ、突撃銃を撃ちながら、地雷で吹き飛ばされた民兵の前衛に向かって突撃していった。

中佐は兵士達の後姿を見つめながら胸壁を乗り越えると、ゆっくりとした足取りで突撃した兵士達の後を追った。

護衛兵士がつかず離れずの距離で中佐を取り巻き、進んでいった。

中佐の激しい武者ぶるいはすっかり治まっていた。





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