カフェローズガーデンへようこそ〜アンナ・ダウトの恋愛譚〜
@erika_setuna
第1話カフェローズガーデンへようこそ
バラの匂いに誘われて学園通りを歩いていくと
カフェ「ローズガーデン」にたどり着く
そこには店長であるシモンを始め、パティシエのシエル、
ドリンク担当のレイ、ホール担当のランスとジャック
そしてアンナの6人が仲良くお客様であるあなたをおもてなししてくれる
カフェにはそんな彼らとの一時を楽しむために通うお客さんや近くの学園、ロージーナ大学の学生がよく訪れるという
これはそのローズガーデンの従業員アンナのお話
「いらっしゃいローズガーデンへようこそ」
ローズガーデンに入ると淡いピンク色のブラウスにバラの描かれたロングスカートに身を包んだ小柄の女性に案内される
それがアンナだ
お客さん達にはアンナさんと親しまれ笑顔がとても素敵な女性だ
「アンナケーキセットできたぞ」
シエルが言うと「はーい今行きます」と颯爽と取りに行き
注文したお客さんのところに持っていく
他にも料理が用意されるとアンナは
同じくホールのランスとジャックを呼び指示を出していく
「ランス、ジャック、これお願い」
「はいよーアンナ」
「わかった」
2人が動くとその席からは黄色い声援が飛ぶ
それもそのはずこの2人はペアでなおかつ見た目がとてもいいのでカフェ内でも人気だ
「精が出るねアンナくん」
「シモンさん、ありがとうございます…ただあの二人」
「人気だからね……ランスはノリノリだからいいけど、ジャックくんはあまり嬉しくないみたいだ」
「慣れないだけみたいですけど」
そう話しているとシエルとレイからそれぞれケーキとドリンクが出来たと呼ばれアンナはそちらに向かう
少しお客さんが減り閉店時間が近づく頃お決まりでやってくる学生が2人いる
セナとリエルだ
「あら今日も来たの2人とも」
「アンナさん!」
「だってここ好きなんだもん!それよりねぇねぇアンナさんあの噂本当?」
どうやらなにか変な噂を聞き付け確認に来たらしい
アンナはめんどくさいなぁと思いつつお客さんももうこの2人だけだから仕方ないと二人の隣に座った
「噂ってなんの事かしら?」
「ここにいる男性の方々の名前がどうやら薔薇と関係してるとか!」
「あぁそれね…半分あたりで半分ハズレ」
アンナがそう答えるとランスとジャックもやってきて答えた
「俺とジャックは違うぞ」
「あぁ違うな」
そう、この2人は違う
この2人は名前のせいかよくランスジャックコンビと呼ばれている
言い出したのはアンナなのだが
見た目もある意味正反対でイメージカラーもまた正反対
ランスは明るいツンツン茶髪で高身長で少し口の悪いどこにでもいるチャラいイケメンでイメージカラーが赤
それに対しジャックはサラサラヘアな黒髪で好青年、少し抜けているところもあるがいわゆる優等生タイプのイメージカラーが青なのだ
「確かにランスジャックコンビは違うか」
「てことはシモンさんとシエルさんとレイさんは」
「そうね、本人たちからはそう聞いてる、ですよね先輩方」
「あぁ、俺たち3人はそうだそれぞれの親がバラが好きだったらしくてな」
「うんうん、俺はそれすごく気に入ってるよ」
シエルとレイが答えたので学生二人は目を輝かせて
いいな~と感嘆していた
「本当にあなた達ここに何しに来てるのよ」
「え?アンナさん達とおしゃべりしに来てます」
「だってアンナさんたち優しいんだもん」
「そういうけどねぇ……」
呆れつつアンナが聞いているとランスはアンナの隣に座り頬杖をついて
「まぁここでの会話結構俺は息抜きとして楽しんでるけどなぁ」と呑気にこたえた
「ランス仕事中だけど?」
「そう言うなって」
「おいランス、仕事中だぞ」
「うるせぇ優等生」
「なんだと!」
どうやら喧嘩が勃発…アンナは呆れてしまった
「はいはいそこで喧嘩しない、すぐこうなんだから…」
「でた~ランスジャックコンビの喧嘩~」
「あなたたちも面白がらないの、さ、そろそろ閉店よまた明日」
「はーい」
2人がかえり閉店作業をしながら全員で賄いを食べながら話していた
「今日もお客さんいっぱいだったねぇシエル」
「そうだな」
「ここも人気になってきたからね、全てはアンナくんのおかげかな」
「そんな事ないですよ、シエル先輩が美味しいケーキを出してくれて、レイ先輩が美味しい料理と紅茶を入れてくれるからだと思いますよ?」
「だけど1番は君の人あたりの良さだと思うよアンナくん」
シモンに言われアンナは照れくさくなった
「そんな…私はただ」
「僕もアンナは凄いと思うぞ?」
「そうだそうだ、ここにいるジャックと違ってな」
「んだとランス!」
「はいはい、そこはそこで喧嘩しないの」
「ははは、まるで2人のお母さんだなアンナは」
シエルがからかうように笑うとレイはため息をつき
「私こんなめんどくさい息子持った記憶ないんですけど」
と返した
2人の方を見るとまだ言い合いをしているようだ
呆れて賄いを食べて後片付けをしてすぐアンナは家に帰る
「あ、待ってくれアンナ」
「僕たちもいくから」
「………なら早く支度しなさい」
「ははは、やっぱりお母さんだなあれじゃ」
「シェアハウスしてる時点であれはね…」
「そうだな」
「待ってくれよアンナ」
「アンナ」
2人の声が聞こえてアンナは止まった
「すぐ喧嘩するんだもの、少しは仲良くしたら?」
「そう言うけどなぁ、じゃなくて!いい加減そろそろ返事寄越せよ」
「そ、そうだぞそろそろ返事……」
返事というのは先日この2人は同時にアンナに交際を求めたのだ
当のアンナは「それ今すぐ答えなきゃダメ?」と跳ね除けた
前にも学園の卒業の時にも同時にやってきたのをはねのけたばかりだと言うのにこの2人はと半ばめんどくさいが勝っていたからだ
「しょうがないね、なら今度の私の誕生日に私が今1番欲しいと思ってるプレゼントを渡してきた方と付き合ってあげる」
そう言ってアンナはウィンクをして颯爽と家に戻った
「アンナの欲しいもの」
「ってなんだ?」
2人はキョトンとしてトボトボと歩き出した
さてそれから
「ねぇねぇアンナさん最近ランスジャックコンビがソワソワ色んなプレゼント調べてるって本当?」
「一体どこでそんな情報手に入れるのよ」
案の定これ
学生2人がニコニコと詰め寄ってくるのだ
「だってぇ」
「ランスくんなんてよくお客さんに聞いてるし」
「ジャックくんはなんか雑誌読んでるし」
「そう………仕方ない誰にも言わないのよ?」
そう言ってアンナは何故こうなったのか2人に耳うちした
「そんな理由!」
「え~、でもあの2人のことだからハズレそう」
「そうね……まぁ答えを知ってる方がいるのよここには、ねぇ先輩方」
「あぁそうだな」
「うんうん知ってる~、あとアンナちゃんはねー」
「レイさん」
レイが何かを言おうとしたのに気づいてアンナはレイを睨んだ
「あ、ごめんごめんなんでもないよ~」
レイはあははと笑って仕事に戻った
「アンナさん怪しい」
「怪しい」
「さ、なんも無いのそれより貴方たちにはそういうのないの?」
「え~、ないない、私だったらレイさんがいいもん」
「私もシエルさんがいい、あ、でもシモンさんもいいんだよなぁ」
2人の答えを聞いてアンナは頭を抱えた
「あなた達ねぇ……」
「なんかおかしいですか?」
「………あなたたち面食い?」
「ち、違います~!」
「ここの方々いい人たちばっかりなんだもん」
そうこの2人はの言ってることは的をいている
まずシエル
シエルは黒髪でメガネをかけていてとても知的な見た目をしている
それこそ悩みがあるとなんでも聞いてくれそうな優しい見た目はお客さんたちには人気だ、そしてお兄ちゃんというのが似合ってしまうそんな人でイメージカラーは緑
次にレイ
レイは茶髪のロングでとても明るい性格でそしてオシャレだ
それこそSNSが得意で若い女の子からモテモテだ、その上女心が分かるので恋バナが大好きという人、イメージカラーは恐らくオレンジ
最後にシモン
彼は赤みがかかった茶髪で小柄で少し女性的な見た目、俗に言う美少年タイプだ
性格は少し厳しい所があるが面倒見がよくお客さんを大事にするそんな人だ、そしてこの人は赤が誰よりも似合う
そんな3人の先輩方もまた人気なのだ
「そう思うとアンナさん羨ましい」
「すぐ近くにこんなイケメン5人がいるなんて」
「はいはい、なんとでも言いなさい 」
軽くあしらうとレイはくすくすと笑っていた
「そう言われるとアンナちゃんも面食い…」
「レイさん何か言いました?」
「なんでもないよ?でもそう言うとアンナちゃんの見た目も人気なんだよね、美人て訳では無いけど……アンナちゃんは可愛らしいし、その明るい笑顔は誰にも真似出来ないからね」
「そうやって話を逸らしてもなんか言ったのは聞こえてますからね?」
「うーん、ごめんね?」
「おい、レイそう言ってるけど笑いこらえられてないぞ、そしてあまり虐めてやるな」
「え~」
シエルに窘められレイは静かになった
「さて、と、さあさあ閉店の準備」
2人を帰して掃除を始めるアンナ
するとランスが「掃除だりー」とアンナの頭の上に自分の頭を置いてサボりはじめた
「掃除しなさいランス」
「え~、ヤダ」
「まったく、そういうところ昔から変わらないんだから」
「ランス離れてやれアンナ重そうだぞ?」
「ちっ、優等生くんは黙ってろっての」
「んだと! 」
「はいはい、2人とも掃除」
呆れつつ掃除を続けるアンナ
こういうのがここの日常だ
さて、アンナの誕生日の日
その日はカフェは貸切限られた人達しか入れないのだ
「さてアンナくん誕生日おめでとう」
「うんうん、それより2人とも~課題はクリアできたかな?」
レイがニコニコとランスジャックコンビをいじる
2人とも照れくさそうにアンナに渡すわけだが
ランスは赤いリボンのくまのぬいぐるみに持たせた腕時計
ジャックは飼い猫用の黒いリボンのチョーカーとそれと対になるデザインのチョーカーだ
「これはなかなかの戦いか?」
「うんうん、それでアンナちゃん答えは?」
「そうですね」
アンナが答えたのは─────
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます