凌辱エロゲのクズ主人公に転生したけど優等生として生きていたら、メインヒロインと半同棲になってしまっていた
和鳳ハジメ
第1話「転生に気付いた」
彼が転生に気付いたのは物心ついた時であった。
幼心に違和感が凄かったのだ、何せ日本人なのに女性の髪色が色とりどりなのだ。
黒や茶、金や赤、それらはまだいい、しかし染めてもいないのに緑や紫、水色など実に色鮮やかで。
(髪色だけが前世と違うだけ? 他にもある気がするんだよね)
そして気付いたのは、またも女性の違い。
テレビや雑誌で見る女優やアナウンサーは言うまでもなく、道を歩く一般女性ですら中々に綺麗だし。
何より、――胸がデカイ、尻もデカイ、前世でいう爆乳が今世での巨乳である。
(トドメは…………僕の名前かぁ……、『
前世の死因はブラック勤務で疲れ果てた後の久しぶりの三連休、体を休めることなく趣味であるエロゲをぶっ続けでプレイした事。
途中で心臓が苦しくなって倒れ、一人暮らし故にそのまま……。
ともあれ、その時にプレイしていたのが。
(『破姦~快楽ニクルイ壊サレテイク少女タチ~』ロープライスらしく一本道でほぼエロシーンだけど、拷問アリ薬物アリでメインヒロインを陵辱しつくした上で心も体も人生も破壊する、超特殊性癖なエロゲじゃんかよおおおおおおおおおおおおお!!)
彼の名誉の為に言うと、リアルでも二次元でも特殊な性癖はない。
しかし『破姦』のキャラクター達を担当したイラストレーターの大ファンであった為に、半ば義務感でプレイしたのだ。
このゲームの主人公は、作品の負の部分を凝縮したようなクソ主人公で。
(い、いやだッッッ!! このまま、女の子の身も心もボロボロにしていって、その子の友達や家族まで破滅させて悦には入る鬼畜になるなんて!! 僕は絶対に普通に生きてみせる!! 優等生として学生時代を過ごし、誰かを傷つけるぐらいなら一生を独り身ですごすんだ!!)
その為には全てを利用した、己が転生した氷里真玄の親が裕福なのを利用して幼い頃から塾と習い事。
イケメンである事を活用して、男女問わず愛想を振りまき仲良くなって。
――そして高校二年生の春である、己が何故に優等生をしているか忘れかけた頃であった。
「………………うあああああああああああああああああああああああああああああッッッ!?」
「ぷぇいッ!? ど、どどどっ、どーした
「い、いや……、なんでもない、ごめん、ちょっと提出物をひとつ忘れてたのを思い出しただけ」
「あー、提出物? 珍しいじゃん優等生の氷里くんが何かを忘れるって」
「ははっ、優等生って言っても努力してるだけだからね。偶には忘れることもあるのさ、気にしないでゲームしててよ」
ベッドで寝ころびゲームをしていた銀髪の少女にそう誤魔化すと、彼は背を向けて青い顔で頭を抱えた。
なんで、どうして忘れていたのだ、己の愚かしさが恨めしい。
だってそうだ。
(なんで僕はメインヒロインの『
思い出した切欠は、ゆらぎが真玄のベッドの上で足をぱたぱたさせながら携帯ゲームをしている姿。
サイズの大きいTシャツを部屋着の代わりに、ズボンやスカートは履いておらずパンツ一丁。
腰まである艶やかな銀髪と、後ろからでも隠せない我が儘すぎるデカおっぱい、それらを斜め後ろからみている構図。
(くッ、ヤバい、これはゲーム最初のエロシーンの導入部ッッッ!! 原作での僕はこの後すぐにゆらぎを無理矢理犯し、マジカルチ○ポと動画と写真で奴隷にしてしまうんだ!!)
なんて事だろうか、これが転生ジャンルにおけるシナリオの修正力というモノなのだろうか。
ゲーム音と可愛らしい鼻歌を背に、真玄は顔を青ざめて震えた。
落ち着け、今はとにもかくにも落ち着いて思考すべきだろう。
(陵辱エロゲの世界に転生したって気づいたのは大分前だ、誰も傷つけない為に僕は……優等生になったんだ、なんとかなる筈だ!! 今考えるべきことは……原作との違い、う、うん、そうだ、違いを考えるんだ)
原作での主人公は己の整った容姿と優秀な頭脳、そして裕福な実家を利用して優等生という表向きの顔を周囲に印象づけ。
その裏で、女性を弄び、心や体、世間体やその周囲の人々ごと破滅させ遊んでいた。
メインヒロインである
(――――そして、エンディングで原作の僕を殺した女だ)
つまり。
(うっかり性別を越えた親友で、親公認の半同棲になってるけど…………今以上に関係が進むと僕はゆらぎに殺されるかもしれないッッッ!!)
一歩間違えれば己の死が待っていると自覚して、
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