第30話 わたしの自信

「さあ!たんとお食べ!」

 パキラさんに案内されたのはさっきまでわたしとパキラさんが戦っていたところ。

 そこに今は机が出されてご飯が盛り付けられて、村の人たちも楽しそうに食べている。

「こ、こんなにたくさん。本当に大丈夫何ですか⁉︎」

「言ったろ、わざわざきてくれた人に何もしないのは無礼だろって。気にするな。大事におっておいても死んだら意味がないんだからな」

 そうパキラさんは笑いながら言うけれどどうしてもう直ぐ死ぬかもしれないのにそんなに笑っていられるんだろう。

 さっきはみんなの手前自信を持っていたけどだんだんと冷静になるにつれてその自信がなくなってきた。

「どうしたんだ?暗い顔して」

「どうしてパキラさんは楽しそうに笑っていられるんですか?」

 わたしがそういうとパキラさんは「なるほどな」とゆっくりと話し始めた。

「あたしは昔あちこちを旅していてな。何度も死にそうな目にあった」

「怖くはなかったんですか?」

「もちろん最初は死ぬのが怖かったさ。いや、今でも全く怖くないといえば嘘になるな。でも旅を続けるうちに、いろんな人に出会ううちに思ったんだ。人はどうしたっていつか死ぬ。だったら最後の瞬間まで明るくいようってな!」

 ・・・

「それに今はカルミアもいる。他の奴らもそうだ。あたしよりも強いあんたがいるんだ。きっと何とかなる、そう思っている」

「そんなに期待されるほどわたしは強くは・・・」

「強いさ。それは力だけじゃない。アジェガから聞いたよ。誰も助けに来てくれない中、あんたが助けに行くって言ってくれたってな。本当に強いやつってのは、ここぞと言うときに動けるやつのことを言う。あんたはそれを持ってるよ、カルミア」

 そんなふうに思っていてくれたなんて。

「あの!わたしがんばります!」

「ああ!期待してるよ!あたしたちも頑張らないとね!」

 その時、奥の方でご飯を食べていた人が「おーい!お二人ともーなくなっちゃいますよー!」と呼びかけてきた。

「こら!主役をほっといて何やってるんだ!」

 そう言いながらもパキラさんは笑っている。

「さ、行こうか。あのバカどもが全部食べてしまう前に」

「はい!」

 もう大丈夫。この人たちとならきっと何とかなる。

 そう思うとまた自信が湧いてきた。

 そのあとはわたしは村の人たちと一緒に楽しく話しながらご飯を食べた。

 しばらく食べた時だった。

 『危機察知』に大量の反応があったのは。

 

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